授業というものは極めて退屈だった。
それもそのはずだ。
前世では頭脳明晰容姿端麗、歩く白馬の王子様と言われ、当然のごとく首席で卒業したこの私だ。
一学年の授業など、大学生が1+1を習うようなものだ。
関係ないけれど、白馬の王子様なのに歩いてるってどういうことなの?乗せてよ、馬に。


今日は初めての魔法薬学ということで、肌寒い地下に来ている。
隣に座っているドラコが、スネイプ教授とルシウスが懇意にしていることを意気揚々と語っている。
この話は耳にタコだが、前の席のパンジー・パーキンソンは熱心に耳を傾けていた。
そういえばロンがパーキンソンをパグのような顔だと話していたが、私はそうは思わない。
彼女は目と目の間が狭く、前から押しつぶしたように鼻が上向いていて、肉厚な頬のためにほうれい線がくっきりしているだけだ。それだけで犬と同列に扱うのは酷いと思うのだ。
ドラコにそう話をしたら、困ったような曖昧な顔で笑っていた。ドラコにあんな表情ができるなんて、お爺ちゃんびっくりしたわ。

そうして取り留めのない事を考えていると、やけに大きな音を立てながら、スネイプ教授が入室してきた。
自分の存在を主張しすぎである。そんなに生徒たちの視線を独り占めしたいのだろうか。
つまり僕を見てくれってことなの?ごめん引いた。


「このクラスでは魔法薬調剤の微妙な科学と厳密な芸術を学ぶ」


スネイプ教授は颯爽と教壇にあがるなり、仏頂面でこう切り出した。
常日頃から思っていたが、全く愛想のない男だ。
一番初めの授業くらいは「やあ皆さん、ご機嫌いかが?今日から楽しい魔法薬学が始まるよ☆」と言って場を和ませて欲しい。
後にドラコにそう話をしたら、そっと目を閉じて苦悩しつつも頷いた。
そこは正直に「流石にキモい」と言ってくれても良かったんだぞ、我が孫よ。


「このクラスでは杖を振り回すような馬鹿げた事はやらん。そこでこれでも魔法かと思う諸君が多いかもしれん。フツフツと沸く大釜、ユラユラと立ち昇る湯気、人の血管の中を這い巡る液体の繊細な力・・・・」


え、スネイプ教授が何か語り始めたどうしよう。
前世の私のもとへルシウスが連れてきた時は、無口で根暗で陰険そうな少年だったのに、随分と饒舌になったものだ。
饒舌で根暗で陰険そうな大人になるくらいなら、そのままの君でいて欲しかったな。
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