ハリーの女の子発言ですっかり放置された可哀想なロングボトムが何も言わずに去ってから、漸く私の自己紹介が始まった。

「僕はそこで呼吸困難になっているロン・ウィーズリーの双子の弟だ。名前はアゼルだ。」

「ロンとは双子だったんだね。僕のことはハリーって呼んで」

「ハリー。僕は男としての尊厳を酷く傷付けられた。今すぐそこでお辞儀をするのだポッター!」

「許してよ。ほら、カエルチョコあげるから」

「お ん な の こ・・ッ!」

「お前はいつまで笑ってるんだロン!!」

正直カオスである。
ロンはなかなか笑うのをやめないし、ハリーは私をカエルチョコで買収しようとする。
ちなみにもらったカエルチョコについていたカードはダンブルドアだった。

「ここにハリーポッターがいるんだって?」

そんな中、またもや突然ドアが開き、色白の少年が偉そうな態度で侵入してきた。

「やり直し」

私はすかさず杖を振るい、彼を追い出した。
廊下から、人が壁に激突しそのまま倒れるような音がしたが、まあ大丈夫だろう。

今のはドラコ・マルフォイ。私の孫である。
もはや気配でわかった。
孫と同学年になるとは、人生って不思議。

「な、何をするんだ!!」

怒ったドラコが、酷い音を立てて再びドアを開いた。
しっかりと整えてあったオールバックが少し乱れている。

「騒がしい、やり直し」

私はもう一度杖を振るい、ドラコを追い出した。
廊下から、人が2、3回転がるような音がしたが、大丈夫だと信じている。

私は礼儀のない孫の姿など見たくないのだ。
マルフォイ家は貴族なのだ。礼節をもって行動するべきだ。
つまりこれは愛の鞭なのである!

その後、これと同じやり取りは5回ほど続いた。

「ドラコ・マルフォイです。入室の許可を・・・」

「許可しよう」

ドラコはしおらしい態度でドアを開いた。
しかし、髪は乱れネクタイは曲がりローブには埃や蜘蛛の巣がついている。

「身嗜みが整ってないようだが?」

「もうやめて!彼のライフはゼロだよ!」

もう一度やり直しさせるつもりだったが、ハリーとロンが必死の形相で止めるので断念せざるおえなかった。
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