02


さて、これからどうしよう。
腕組みしたまま頭をひねる。

さすがに玄関の硬いフローリングに怪我人を放置することもできないので、とりあえずリビングのソファに寝かせて今に至る。


さっきタオルで軽く拭いたとき傷口をみたけど、思ったより深手ではなかったので少し安心した。



……やっぱり手当てはしないとだよね。

そう思っていそいで救急箱をとりにいく。



戻ってくる途中で思ったことだが、たしか傷口は消毒してはいけないと聞いたことがある。
まずはシャワーなんかの水で洗うことが先決。





お風呂場で洗うか。



傷はほとんど上半身にある。
Yシャツの上からじゃ傷口を洗えないので脱がせるしかない。





なんだか嫌な響きだ。笑えない。






救急箱をソファの前のテーブルに置いて、私はまた彼の腕を肩にまわしてお風呂場まではこんだ。


細身のくせに何故重い!!

彼には意識がないため私に全体重がのしかかってくる。
腰を痛めそうだコレ。




ようやくたどり着いたお風呂場。
ゆっくり彼を降ろして湯船の壁にもたれかけさせた。

ぐーっと後ろに反ればのびてくる私の腰に自然と笑みがこぼれる。
まるで年寄りだ。




よし、まずはYシャツ脱がさないとね。


ひとつずつボタンを外していくが、恥ずかしいとか思う前にだんだん見えてくる傷に顔をしかめた。

血は雨で多少流れてはいるが、浅い傷でも痛々しくみえる。



「……っ」

少し息をのんだ。
ボタンにかけていた手も一瞬止まる。


でも、早く手当てしないとダメだ、傷口に菌がはいっちゃう。


ぶんぶんと頭をふって、また手を動かした。

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