15


お腹が空いてきたお昼休み。
今日は珍しく購買にでもいこうかと思う。



「翔音くんは何食べたい?」

「………………」



一瞬目をぱちくりさせたあと、考えるような素振りをみせる。




「………やきそばぱん」

「それが何かわかってないでしょ。まぁいいけど」

「じゃああたしも焼きそばパンっ」

「では私はサンドイッチで」

「俺はあんぱんとカスタードクリームパンねー」

「はいはーいっ、俺はね、かにくりーむコロッケパン!!」







「何で全部私が買いにいく感じになってんの!?」



パシりかよ私!!


「いいじゃん別に。どっちみち購買にはいくんでしょ?」

「まぁそうだけど……」

「ついでってことであたしらのもお願い!!あ、もちろん芹菜のおごりねっ」

「イジメの領域越えてるよそれ」




結局あれよあれよと買わされるハメになってしまった。
まぁほんとに購買にはいくんだし、かなりのついでってことで諦めるしかないか。





ということで私は財布をもって購買へ向かう。


当然みんなの分のお金はふんだくりましたよ。
翔音くん以外ね。



購買につくと、すでに他の生徒がたくさんいた。


あちゃー、来るのがちょっと遅かったかも。



学園の購買はコンビニで買うより断然安いため、買いに来る人が多い。
とくに男子なんかは毎日購買で買う人だっている。

お金の心配はいらないのかと疑問があるが。





列に並んで私も食べたいものを選ぶ。
私は……メロンパンでいいかな。

順番がきて目の前にいるおばちゃんに必要なぶんを頼んだ。




「焼きそばパン2つと、サンドイッチと、あんぱんとカスタードクリームパン、メロンパンと………………」



あれ、なんだっけあと1つは。
ちくしょうみんな一気に頼みすぎなんだよ覚えられるか!!





……………ああ、そうだそうだ。






「「かにくりーむコロッケパン1つ」」







え、あれ、誰かとハモった?



隣をみると黒髪の男子生徒がいた。
わぁ、なんかこんな普通の髪の色久しぶりかも。




「あらぁ、ごめんねぇ。かにくりーむコロッケパン1つしかないのよー」

「「…………」」







このパンはいったいどっちのものになるのか。

ここで決めると他の生徒たちに迷惑がかかるので、とりあえず買って場所をうつした。


あぁ、なんてベタな展開でしょうか。





場所は変わってここは購買からすこし離れた廊下。
この1階はほとんど昇降口と購買でしめている。
高校にもなると昼休みに校庭で遊ぶなんて人はあまりいないため、この昇降口はわりと静かである。


そして私は今その廊下にいるのだが。



「「………………」」



うわあ何だろうこの気まずい空気。
初対面同士だから仕方ないんだけど……居ずらい。




にしても、この黒髪くんみたことないなぁ……下級生かな?




「あー……、このパンあげるよ。私が食べたいわけじゃなくて頼まれたものだし」


とりあえず話しかけないことには始まらないので私は黒髪くんにパンを差し出した。



「……俺も別に。あんたと同じで俺も先輩にあげるために買おうとしただけだし」

「いや先輩にあげるんならなおさら受け取ろうよ」

「いいんだよ、どうせあげんのは橘先輩なんだから」

「先輩なめてる!!」







ん?橘っていったこの黒髪くん?




「……橘先輩って、あの赤髪の橘くんのこと?」

「ん?あぁ、あんた知ってんのか?」

「うん、まぁ同じクラスだし」

「……………………へぇ、同じクラスだったんですね」




あれ、いきなり敬語になったぞ。


もしかして私が先輩だって今気づいたとか?



「よくわかってるじゃないですか」

「ちょ、何で心の声がっ」

「声にでてますよ」

「ていうか私を先輩だと思ってなかったのか!!」

「だから今敬語にしているんじゃないですか」

「顔みれば気づくでしょ、見たことない顔だな、あぁきっと先輩なのかなって!!」

「その思考でいって俺は後輩だと思いました」

「失礼極まりない!!」

「先輩が俺より小さいからいけないんですよ」

「アンタより大きい女この学園にいねーだろーがあああああ」

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