15


「俺も先輩のクラス行きます」

「……え、何で?パンなら私が届けるけど」

「わざわざパンあげるために3年の教室にいくわけないじゃないですか。頭大丈夫ですか?」

「いちいちムカつくよねアンタ」

「橘先輩に用があるんです」

「ふーん……」



さっきから超生意気な態度で接してくる黒髪くん。
絶対私を先輩だと思ってないってゆーかむしろその敬語が余計に腹立たしい!!







3年の教室、つまり2階へと向かっているその途中。

そういえばまだ名前聞いてなかった。



「ねぇ黒髪くん、アンタ名前なんていうの?」

「聞いてどうするんですか?」

「呼ぶためだけど!?黒髪くんて呼ばれたいの!?」

「桐原棗です」

「桐原くんね。私は藍咲芹菜」

「いや、聞いてないです」

「酷くない!?」






そんなことを話しているうちに私のクラスにたどり着いた。

ドアをあければ翔音くんの席のまわりにいつものメンバーが集まっていた。




「芹菜おそーい!!待ちくたびれて先にお弁当食べちゃったよ」

「えっ、じゃあなんで焼きそばパン頼んだの?」

「お弁当だけじゃ足りないからだよ。部活やってんだからお腹すくの!!」

「お帰りなさい芹菜さん」

「うん、ただいま柚子」




私が買ってきたパンを机に並べると、みんなすぐさま自分のパンを手にとった。




「……………………」

「……どうしたの翔音くん?」

「………パンに麺入ってるんだけど」

「そりゃそうだよ、焼きそばパンだもん」

「……麺を食べればいいの?」

「何で分けて食べるの、パンも食べてあげて!?」



さて私もメロンパンにありつけようと袋をあけたとき、あれっと思った。




さっきまでいた桐原くんは?



そう疑問に思ったがすぐにそんなことはなくなった。
私の隣にいた橘くんの後ろに影がさしたからだ。



そんなことにも気づかない当の本人は「俺のかにくりーむコロッケぱあああんっ」とかいいながら幸せそうな顔をしていた。




おーい、後ろ気づいてー。
なんかいますよー、影がさしてますよー。








「何してるんですか橘先輩」

「もふぁ?」



橘くんはかにくりーむコロッケパンを口にくわえながら振り向くと、そこにはものすごい冷めた目付きで見下ろしている桐原くんがいた。

いや、この場合見下しているといったほうがいいかもしれない。





「今日の昼休みはミーティングがあるって何度言えばわかるんですか」

「あっ!!…………………よし、俺は今日欠席ってことで!!」

「何言ってるんですか、パンのかわりにサッカーボール突っ込みますよ」

「うん、行こうかミーティングに!!!!!!」




桐原くん、目が本気だ。




「……貴方が翔音先輩、ですか?」

「……?」



去り際に桐原くんが翔音くんのほうを向いてそう問いかけた。

本人はぽかんとしているようだけどゆっくりと頷く。



「翔音くんのこと知ってるの?」

「橘先輩がよく俺に話してくるんですよ、“今日翔音がなっ、翔音がなっ”って。まるで恋する乙女ですよ」




うわお、後輩にも同じこと思われてるよ橘くん。




「部活の休憩中のたびにいってくるんです。俺は恋する乙女の話を聞く友人でもないのに。まったく、身の程をわきまえてほしいですね」

「それどっちかっていうとアンタのほうだよね」




もうどっちが先輩なんだかわかったもんじゃない。






「……とりあえず俺達はもう行くんで。面倒だとは思いますが橘先輩をお願いします」


そういって少し翔音くんに頭をさげた。

なんだかんだ言っても橘くんのこと気遣ってるのかな。



私がしばらく桐原くんをみているとパチッと目が合った。




「何ですか?」

「いや、なんか桐原くんて橘くんの保護者みたいだなって」

「星になりたいんですか?」

「あれ!?死亡フラグ!?」








とんだ昼休みになったもんだ。



15.君、本当に後輩?

キーンコーンカーンコーン
(あああああまだメロンパン食べてない!!)
(芹菜ー、次体育だよ?)
(なんですと!?)


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