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週末があけた月曜日の朝、天気はくもり。
あまりいいお天気ではなくとも学校はいつもどおり始まる。

靴をはいて学校へ登校。
さぁ、また退屈な授業がやってきた。






昨日の夜に、翔音くんの学園編入学が決まった。
朔名がいろいろとごまかして編入試験をパスしてくれたみたい。

いったい何を言ったんだ。


ということで今日から彼の学園生活が始まる。
あああ私の苦労が増えるなぁ……きっと。




私たちは8時に家をでた。
そのあと翔音くんを職員室まで送って私は2階の教室へと向かう。
ちなみに彼は私と同じクラスだ。
これも朔名が何かをしたからの結果みたいだけど、ほんとに何をしたの。




教室の後ろのドアをあけて中にはいる。

途端に私はクラスにいた人達全員からの視線をあびた。



えええ、またですか。
今日はもうガーゼしてないけど……。


不思議におもっていると、私に気付いた玲夢が思いっきり衝突してきた。


「芹菜ーーー!」

「うおわああ、何事!?」

「何事!?じゃなあああい!!」

「えええ何怒ってんの!?」



玲夢はすごい形相で私につかみかかってきた。
怖い怖い怖い!!
私なんかしたっけ!?





「金曜日にきてたあの紫頭のイケメンは誰!?」



「……はぁ?」

「あたし見たのっ、芹菜があのイケメンと帰るところをこの教室から!!」


あぁ、そういえばそんなこともあったな……。
確かあの時は翔音くんがいたことにおどろいて玲夢たちをおいて教室を飛び出したんだっけ。


「誰、誰!?あたしにも紹介してよ芹菜ちゃあああん」

「怖い怖い怖いよ顔おおお」



つか紹介も何もそのイケメンとやらは今日からこのクラスの仲間入りになるんだけどね。




「ほらー、お前ら席につけー」


いつのまにかはいってきていた担任によって私に向けられていた視線はなくなった。

よかった、視線で串刺しになるかと思った。

玲夢からも解放されたけど、席が後ろだからあんまり変わらない……。



「さぁまた1週間がはじまった。土日明けだからってだらだらするなよー」


そういわれるものの月曜日の授業は辛い。
だって1時間目から体育!!
苛めだよねこれ。

先週は50m走で恥かいたから今日こそは!!
……でも確か今日はシャトルランだよね。


土日明けなのにいきなりシャトルランだなんてあんまりだ!!






「それと、みんな喜べ。このクラスに新しく編入してきたやつがいる」



お、やっとお出ましか。
きっとうるさくなるな。


「入ってこい」




ガラガラと音をたてて開けられたドアから、ゆっくりとした足取りで入ってくる紫色の頭をした彼。

これからみんなの前で紹介されるというのに、全く緊張した素振りをみせず堂々としている。

教卓の隣まで歩いてこちら側に向き直った。





「今日からこのクラスにはいる翔音だ。仲良くしてやれよー」




一瞬、まわりの空気が固まった。



数秒の沈黙が流れた。
歓迎しないという沈黙ではなく、まわりをみるとみんな翔音くんに釘付けになっていた。



次の瞬間、教室中に黄色い声が響きわたった。
女の子たちの目が輝きをましている。
あれ、男の子も混ざってるし。



「いやああああのイケメン君だ、かっこいいいいいい」


後ろの席の玲夢が他の女の子たち同様に叫びだした。

うわ、耳にくるこれ!!


翔音くんをみるとやっぱりこの歓声がうるさいようで、無表情ながらも両手で耳を塞いでいた。

担任なんか驚きのあまり目を見開いたままのアホ面だった(失礼)。



「あ、ええ……と、かっ翔音の席は、窓際の1番後ろの席だからな」


担任はこの歓声の中苦笑いしながら翔音くんにそういった。

転入生にはお馴染みの席だよね、窓際の1番後ろって。


翔音くんは担任の言葉に返事をするわけでもなく、その席に向かって歩いた。




あれ、こっちに来るんだけど。







って、その席私の左斜め後ろの席じゃん!!



「ちょっ、聞いた芹菜!?あのイケメン君の席あたしの隣じゃん、マジで!?本気!?どうしようすごくない!!??」

「あんたがどうしようだ落ち着け肩を揺らすなあああああ」



私の肩を思いっきりつかんでぐわんぐわん揺らしてくる玲夢は相当燃え上がって……いや萌え上がっているようだ。

き、気持ち悪い……揺らさないでえええ。




席についた翔音くんは後ろを向いていた私と目が合ったが、何も言わずに頬杖をついた。


家でも学校でも態度は変わらないのね。



授業中、翔音くんはほとんど何をするわけでもなくぼーっとしていた。

ノートも教科書ももちろん持っていないので隣の玲夢に見せてもらっているが、教科書をみても目をぱちくりさせるだけだった(見せている当の本人の玲夢は翔音くんに近づけてニッコニコである)。
転入生ということでいろんな先生に指されてはいるが、全て玲夢か前の席の柚子に教えてもらっていた(もちろん先生にはバレていない)。


なんだか3人で盛り上がってるみたい。
どの授業でも翔音くんが指されるたびに後ろでひそひそしているのが聞こえた。

といっても話しているのは玲夢と柚子だけで翔音くんは解答の言葉しか言っていないが。






そんな感じがずっと続いてお昼休み。
私は1時間目のシャトルランですでにお疲れ気味だ。

だいたい初っぱな体育ってのがそもそもの間違いだよね。





私は昼食のために食堂へといく。
玲夢と柚子も一緒だ。

翔音くんも連れていかないと彼は食堂の場所がわからない。
なのにその本人のまわりには女の子たちがたくさん。
お昼休みということで他のクラスの人たちもいる。


人気者だ。

ああどうしよう。




そう思っていると、突然翔音くんが立ち上がった。
何だと思って黙ってみていると、こっちに向かって歩いてきた。




「何か食べにいくの?」

「え?あ、うん。食堂に」

「………行く」






本当に、食べることには積極的だね。

翔音くんのまわりにいた女の子たちをみるとみんなぽかーんとしていた。
……あのままでいいのかな。


ちょっと気になったけど、玲夢と玲夢に連れられている翔音くんがさっさといってしまうので、私と柚子もあわててついていった。

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