05


最近外を歩くといつも思う。
桜が咲いていて、鶯も鳴いていて、お日さまに当たるとぽかぽかしていて。



春が来たんだな、と。




毎日平日は必ず通る20分たらずの通学路。
住宅街をでるとちょっとした大通りに繋がっている。
そこまでいけば桜葉学園の生徒たちが通学しているのがよく見えるのだ。


名前のとおり、この学園にはたくさんの桜が植えられている。
この季節になると全ての桜が満開となり、風によって桜吹雪となるのが街中でも有名だ。

今年でこの桜を見るのは3回目。
来年は卒業だからもう今年で最後となる桜だ。
しっかり目に焼きつけておこう。


朝からこんな素晴らしい桜吹雪がみれて機嫌のよい私は軽い足取りで教室へと向かうのだった。




教室に入ればすでに何人かの生徒が戯れているのが目にはいる。

みんな来るの早いなーなんて思いながら自分の席についた。
私の席は窓側から2列目の後ろから2番目。
ちょっと微妙だけどわりかしいい席だ。

太陽の日差しはちょうどこの席までとどいていて暖かい。
うとうとしてくる。








あれから結局、怪我をしているということもあって翔音くんはうちに泊まることになった。
まぁ元々4人暮らしだった家を2人で使っているわけだから、部屋は余ってるし困ることはないからいいんだけど。


身元不明、名前と誕生日以外不明、もしかしたら記憶喪失。
これじゃあ何処へいっても追い返されるだろう。
病院も同じことだ。

……このままうちに住み着いたりして。


ここまで考えてため息をつく。
なんかすごい拾い物をしたかも。
昨日の出来事がインパクトありすぎて中々頭の整理ができていないみたいだ。
その証拠に昨日からため息が絶えない。



今日帰ったらまた話してみないとね。







そういえば彼には礼儀も無かったな。

またはぁとため息がひとつ。



あぁぁ、幸せが逃げる。



「おっはよー芹菜っ!!」

「んーあぁ玲夢、おはよー」



机に頭をのせてでろーんとしていると、頭の上から声がした。
顔をそちらに向けると、私の後ろの席の川上玲夢がいた。
朝っぱらから元気だよねほんと。


「なぁに浮かない顔してんの?」

「まぁいろいろありまして」

「わかった、今日の漢字テストのことでしょ!!うちも忘れてたから昨日メッチャ頑張ったんよっ」

「……………え?」

「……え?」




え、漢字……てすと?
て………すと………。













「あああぁぁああぁああぁぁぁあ」

「うわっ、いいいきなり何さ!?」


しまったあああ。
昨日は何かいろいろと考えてて忙しかったからテストのことすっかり忘れてた!!


いやいやいやいや、落ち着け芹菜、ここは冷静になるべきだ芹菜よ。

テストとはいえたかが小テストだ。
成績に繁栄しようが、定期や期末テストみたいに大きく繁栄することはないだろう。


うん、きっと大丈夫だ。



無理矢理そう自分に言い聞かせていると担任が教室に入ってきた。
ちょうどよくチャイムも鳴る。
いよいよテストだ。

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