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「アリス!来てくれたんだね!」
いきなり声をかけられ、ビクッとして振り向くとそこには満面の笑みをした、うさみみ男がいた。
「アリス…って俺か?いや確かに有栖川ですけど。てか俺、君の事知らないし、人違いじゃ…」
「人違いなわけあるもんか!ずっと待ってたんだよアリス!」
ぐわっと寄ってきたうさみみ男。やっぱりこいつ変質者か!?
「いや、だから俺はシュンっていう名前で…」
「はやく!行こう?リリーが待ってるよ!」
「ちょ!引っ張んな!リリーって誰だよ!?」
「やだなあ、アリスってば!そんなの赤の女王に決まってるじゃないか」
ほら、行くよ!そう言ってぐいぐい俺を引っ張っていくうさみみ男。
「い、やだ!」
俺はそう叫んで奴の手を振り払い、逃げ出した。走って走って走りまくった。
「…はぁはぁ…巻いた、か…?」
後ろを振り向くと追いかけてきている気配もなかったので、ほっとして思わず地面に座りこんだ。
「何だったんだ?あのうさみみ男…ていうかここどこなんだよ…もう嫌だ」
思わず涙腺が緩む。
「何で俺がこんな目に…ぐすっ…あー泣くなんてみっともない…」
でもしょうがない。涙が溢れてくるんだから。
「君、大丈夫?」
しばらく泣き続けていると、上の方から声がして驚いて顔をあげると、今度はねこみみの奴がいた。
「今度はねこみみかよ!?」
思わず突っ込んでしまった。
「えっと、君はアリスだよね?これは、ねこみみっていうかその…僕チェシャ猫だから自耳なんだよ」
困ったようにほほ笑むチェシャ猫さん(?)ていうか
「人間じゃねーの!?」
「うん。その様子じゃ覚えてないみたいだね…ここはホグワーツ。パラレルワールド。わかりやすく言うと君が元いた世界とは別の世界、かな?」
「別、世界?」
「そう。多分ジェームズ…白ウサギあたりが君を連れてきたんじゃないかな?」
「…!さっきそいつに連れ去られそうになったんだけど!」
「まったくあの眼鏡…しょうがないね、後でしっかりお仕置きしておくよ」
にっこり笑ったチェシャ猫さん。ドス黒い笑顔すぎる…!腹黒だこいつ…!
「おっと、そういえば、自己紹介がまだだったね。僕は、リーマス・ルーピン。チェシャ猫だよ。よろしくアリス」
「あの、その白ウサギ?も言ってたけどアリスって人違いじゃね?俺は、シュンって名前なんだけど…」
「ああ、アリスはこの世界に落ちてきた人間の名称なんだ。だから君はアリスだよ。でもまあせっかくだしシュンって呼ばせてもらおうかな」
にっこりとリーマスは笑った(今度は腹黒い笑顔じゃなくて普通の笑顔で)
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