「あの、リーマス…俺これからどうしたらいいんだ?」
「んー、そうだな。本当は女王の所がいいんだろうけど…あの糞眼鏡…いやジェームズがいるからなーここは…無難に時計屋の所かな」
「時計屋…?」

案内してあげるよと言ってリーマスはすたすたと歩き始めた。

ていうかリーマスと一緒にいるっていう選択肢はないんだ…

「僕は自由だからね」
「心読まれた!?」
「ふふふ」

怖っ!リーマス黒い笑顔ヤメテ!


「さあ着いたよ」
「時計塔…?」
「そう。ほら行くんだ」
とん、と背中を押される。

「え?リーマス?」
後ろを振り向くと、そこにはもうリーマスの姿はなかった。

「えぇええ消えるとか酷くね!?俺どーしたらいいんだよ!?」

わたわたとしていると、ギィっと音がして時計塔の扉が開いた。

「うるさいぞ貴様!」
「ごめんなさい!」

中から真っ黒の服装の少年が出てきた。超眉間に皺寄ってる…怒ってるこの人怒ってるよー!

「まったく人の家の前で騒がしくするとは何事だ!……ん?お前はまさか…アリス、か?」
「シュンです!いやアリスは人間の名称だっけ?ならアリスです!」
「相変わらず騒がしい奴だ…」
「(…相変わらず?)あの、リーマスが時計屋さんの所に行けって…」

「………ちっ、ルーピンめ…まあいい。とりあえず入れ」
「え?中入れてくれんの?」
もしかしてこの人何気に良い人?

「はやく入らないと閉めるぞ」
「わあ入ります入らせていただきます!すいません!」
「ふん」

バタバタと時計塔に入ると中は案外広かった。
「わあ。時計がいっぱいだー」
「時計屋だからな」
「なるほど…で、時計屋さんは名前なんてゆーの?」
「……セブルス・スネイプだ」
「ほー、じゃあセブルスって呼んでいーか?俺はシュンでいいからさ!」
「…好きにしろ」

セブルスは、何やら台所でカチャカチャとしていたかと思うと、紅茶を持ってやってきた。やっぱり良い人だこの人。

「お前、いつまでそこに突っ立っているつもりだ?そこに座れ…」

紅茶をテーブルに置いた後、椅子を指差し、その正面の席にセブルスは腰掛けた。

「ありがとーセブルス」
なんだか嬉しくなってへらっと笑う。

「お前、」
「シュンだってばー」
「……シュン」
「へへへ」
「へらへら笑うな。シュンはこれからどうするつもりだ?」
「んー。なんかよくわかんねーし、どうしようかな…頼る人もいないし…あ!なあ、セブルスしばらくここに泊めてくれたり……しませんよねー」
あからさまに寄るセブルスの眉間の皺に気付き、言いかけて撤回した。

「………僕の邪魔をしないという条件を守れるなら、置いてやっても構わない」
「まじで!?わーやっぱりセブルスって良い奴だー!」
思わず、セブルスの手を取りギュッと握る。

「…っ!」
ばっと手を振り払うセブルス。顔が真っ赤だった。
「え、照れてんの?」
「…っ照れてなどいない!」
「へへへ。まあそういう事にしとくわー」
「追い出すぞ」
「すみません!」

あー今セブルス、目がマジだった!あの目は追い出されかねなかったよマジで!

「とにかくこれからよろしくなー」
「ふん」


どうやら俺は、不器用だけど優しい人に拾われたようです。良かったー!





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