「んー…寒…って夜!?やばいうっかり寝過ごした!」
寒さで目を覚ます。気付いたら外は暗くなっていた。
どうやら昼にお日さまが暖かくて、木陰でうっかり寝てしまってそのまま夜まで寝ていたらしい。

「やばいやばいやばい」
「そうやばいんだよ…って、ん?」

ガサガサと音がしてそちらを振り向くと何やら人影があった。

心の声が漏れてたかと思ったー!

「ってか…なんか…」
目を凝らしよく見てみるとその人物は何やら変な恰好をしていた。

「…うさみみ?服装もなんか変…コスプレ?」
え、何こんな夜中にコスプレて何なのまさか変質者!?

変質者は何やら凄く焦っているらしく時計をみながらいそいそと通りすぎていった。

「でもなんでだろう、追いかけなきゃいけない気がする…」
いやいやいや、何で変質者を追いかけなきゃいけないんだよ俺!?

そう思いながらも足が勝手にふらふらとその変質者のあとを追いかけるように動いた。

「エエエェエー、何この展開…」
変質者に気づかれたくはないので、こそこそと追いかけていると、変質者は、林にしばらく入ってから、ふっと姿を消した。


「なんか、なんでこんな所まできちゃったんだろ…帰ろ…」
なんだか馬鹿らしく思えてきて、とりあえず元来た道を戻ろうと振り向いて一歩踏み出した。

途端に、俺は落ちた。


「ちょ、なんでぇええええ!?」



いきなり訪れた浮遊感に俺は思わず叫んだ。しかし、何かおかしい。


「落ちる時間長くねぇええ!?てか、下真っ暗なんだけど!?ここどこ!?死ぬの俺!?」
わーわーと騒ぎまくるが、一向に下に辿り着く気配がない。

「どうなってんだこれ」

もはや落ちる浮遊感にも慣れてきて、冷静になってきた。

「とりあえずおかしい。現実じゃないだろこれ。もしかしてこれって夢…?夢だとしたらあの変なうさみみの奴もいてもおかしくないしな」
そうだ。そうに決まってるんだ。うん。俺自身に言い聞かせる。

「でも、どうやったら夢から覚めるんだ?流石に落ち続ける夢とか見たくないんだけどなー」

「って、へぶっ!?」

ドスン!と急に地面が現れ、地面に叩きつけられた俺は潰れたカエルのような声を出してしまった。

「てゆーか痛い…ってことは夢じゃない!?」


気付けば辺りが明るくなっていた。
「……森の、中?」
俺がいたのは、先ほどいた林じゃなくてどこかの森だった。

「…!?なんだここ…」

空を見て俺は驚愕した。自分のいる上の空にはお日さまが出ていて昼の状態なのだが、右の先の遠い方を見ると暗闇で、月が出ているのだ。





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