我が輩の名はセブルス・スネイプ。ホグワーツの教員をしている。今はホグワーツも長期休暇中で、あのうるさいポッターやウィーズリー、グレンジャーがいない事が至極嬉しい。ようやく心休まれると思っていたのだが、最近またひとつ、悩みのたねが出来てしまったのである。


「セブー次次!早く教えてよ」

それがこの、レン・ヒナタである。校長の親戚で日本からの留学生らしく、今度4年生に編入するらしい。ホグワーツの教員は全員、校長から彼の家庭教師をするようにと言われているのだが…まあ、実際、こやつが教えろと言った場合のみだった筈……。しかし、何故だかこうして毎日、我が輩がこやつに魔法を教える羽目になっている。

それは一週間ほど前のこと。我が輩が魔法薬の材料をとりに植物園まで向かっていた時のことだ。廊下を曲がるとそこに奴がいた。

「んー…御機嫌よう!」
「ふん」

我が輩を見て一瞬考え込んでから挨拶をしてきたが、関わるつもりはない。だから素通りするつもり、だった。

「ちょ、素通りはねーだろ。」
「!?」

身動きが取れないと思ったらがっしりと右手が掴まれていて、その場に留められた。こんな子供にそんな力が?と思う程強い力で。

「何のようだ、レン・ヒナタ」
「あれ?俺の事聞いてんじゃん!ならさ、俺の」

 “家庭教師になってよ”

にっこりと笑って、こやつは言った。我が輩にとってそれは死刑宣告みたいな事だった。

その日から、家庭教師という名の教員イビリが始まったのである。そうだ、これは教員イビリに違いない。
世間は、クィディッチワールドカップに夢中なのに、こやつは魔法魔法魔法とこちらが嫌になる程、知識欲があるのか質問責めをしてくる。

魔法薬学に至っては、我が輩に習う前から最早ホグワーツで習う域を超えていた。どうやらホグワーツにきてからしばらくずっと籠もって本を読んでいたらしくそれで覚えたと本人は言っていたのだが、それにしたって何という記憶力。内心関心するとともに少し面白くないとおもう自分もいた。