ホグワーツに着いて、カインとセドリックと分かれてから、俺はひたすら気まずい思いをしていた。何故ならば新入生と一緒に待っていなさいとマグコナガルさんから言われたからだ。明らかに新入生ではない俺を新入生達は遠巻きにひそひそと話しながら見ていた。

ああ、まじで早くしてくれ…


「新入生達!きちんと整列して、私に着いてきなさい。ああ、ヒナタ!あなたは私の隣にきなさい」
「(まじかよ)…あーはい。わかりました。」

マグコナガルさんの隣に並んで大広間に入る。ああ、やっぱり視線が痛い。周りを見渡すとセドリックがこっちに手を振っていた。とりあえず曖昧な笑顔で手を振り返しておく。

組分け帽子が歌い終わりマグコナガルさんが羊皮紙を広げ
「名前を呼ばれたら、帽子を被って、この椅子にお座りなさい。帽子が寮の名を発表したらそれぞれの寮のテーブルにお着きなさい」
そう言って、生徒の名を呼び始めた。


「ホイットビー・ケビン」
「ハッフルパフ!」

ついに残ったのは俺のみで、大広間中の視線が俺に集まる。

「ヒナタ・レン」
マグコナガルさんから呼ばれ前まで歩いて行く。

「彼は日本からの留学生でこの度、4年生に編入します。ホグワーツの事はわからない事も多いと思うので、皆さん親切にしてあげて下さい」

マグコナガルさんが大広間中に響き渡るように言うと大広間内は一気にざわついた。あー…ホグワーツに編入生?珍しい!とか聴こえてくるし

「ヒナタ、早く座りなさい」
マグコナガルさんにせかされて椅子に座り帽子を被る。



「ほぉこれはこれは」
あ。帽子が喋った。やっぱ違和感あるな
「ふむ…君は、なかなかイレギュラーな存在だな…」
わかんのかこいつ?そー、俺イレギュラーっぽいんだよな
「さて、どの寮にいれたものか…」
どの寮でもいいけど…スリザリンとグリフィンドールは避けたいかも…
「ほぉ!しかし君にはどちらでも充分素質がある」
だって、めんどくさそうだし…主に双子とか双子とか双子とか
「ほっほっほ!ウィーズリー家の双子の事か」
そーそー
「ならば…ここはあえて」
……………ん?あえて?




「グリフィンドーールッ!!!!」

帽子は高らかに叫んだ



「はぁ゛ーー!?」
俺の叫びは割れんばかりの拍手と歓声にかき消された。てか、なんだこのくそ帽子!嫌がらせか!?あえてグリフィンドールにする意味って何だよ。嫌がらせしかねーだろ


「ヒナタ、早く席に着きなさい」
「………ちっ…このくそ帽子…今度あったら………燃やすぞ」

聞こえるか聞こえないかの大きさで呟き、帽子がぶるっと震えるのを見てから、俺は渋々グリフィンドールの席まで歩いて行った。