「れんれん」

聞き覚えのある声に振り向くと、カインがコンパートメントから手招きをしていた。

「おーカイン、久しぶり」
「ここ、空いてるぞ」
「え?いいの?ラッキー」

どこぞの双子のせいで、電車に乗るの遅くなったからどこもいっぱいいっぱいだったんだよな。





「おじゃましまー、す?」

コンパートメント内に入ると、知的っぽいカッコイイ青年がいた。(カインに負けず劣らずの容姿だ)その視線に気付いたのか青年はこちらを見て、にっこりと微笑んだ。


爽 や か す ぎ る … !


そんな事を考えているとカインが、俺と青年を見比べて口を開いた。


「れんれん、彼はセドリック。セドリック、こいつはさっき話してた、編入生のれんれんだ。」
「(さっき話してた?)てかお前、その紹介の仕方はねえだろ!?…俺は、レン・ヒナタ。レンって呼んでくれ。」
「レン?変わった名前だね。アジア系なのかな?僕は、セドリック・ディゴリー。よろしく、レン」



そう微笑むセドリックは絵に書いたような爽やか青年だった。…てか、セドリックって、やっぱセドリック・ディゴリーだったか。


………いや、今は考えるのはよそう。原作通りにストーリーが進むとは限らないし、な。


「うん。日本人なんだ。因みに、蓮っていう字を書く」

魔法で空中に漢字を書いて説明すると、セドリックは綺麗な名前だね、と言って笑った。これが本物の英国紳士か。



「カイン、セドリックにはニックネームねえのかよ?」
「ああ、セドリックはセドリックだ。」
「僕が頼んだんだ。カインは、あー…その…ユニークなニックネームをつけるって事で有名だから」

曖昧に笑うセドリック。まあそうだよな。だってドラコのことドラたんとか呼んでるし、俺のこともれんれんとか呼ぶし。ユニークどころの話じゃねえわ。


「なあ、カイン。俺の事もレンって普通に呼んでくれよ」

そういうと
「れんれんはれんれんだから無理だ」
なんて、即答された。

「えー…どういう理屈だよ…(まあこいつの事だからそうなる予感はしてたけどな!)」
「あー…れんれんってニックネーム、僕は可愛いと思うよ」
「セドリック、フォローありがとう」
可愛いは別に嬉しくねえけど、セドリックの優しさに感動するわ。



それから俺たちはすっかり意気投合して、学校に到着するまでホグワーツの事やクィディッチの事、日本の事など、色んな話をした。