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『どうでもいい相手にキレてケガして…ださいね』


ーー声がした。

『感情を秘め続けた人間は、いつか爆発させる。ワタシは秘めてるものの大きさと秘めてきた期間の長さが爆発の大きさと比例すると思ってるよ』

ーー誰かの。




『わたし』は麻痺している。

それは、「豊かな感情や正常な感覚の一部を喪失している」という意味ではなく、" 麻痺しているという自覚がない "という意味で。

はじめは抑え込もうとしていた恐怖。
いつしか強烈な意志がなくとも、すこし力を入れれば抑え込めるようになってしまった。

嗚呼そういえば『わたし』は一つ、大きな勘違いもしている。

信頼する先輩の一人、カリム・フラム。
彼に自分のしている事を見抜かれ、叱られたあの日から『わたし』は少し変わったと思っていたことだ。

『わたし』は、彼に言われた通り、この2ヶ月一度も裏社会に足を踏み入れていない訳だが…

『でもそれで何が変わったの?』

『何か得られたの?』

ーーーまた、誰かの声がする。

『結局この2ヶ月、その優しい彼のいう通りにして何か変わった?真実には近づけたの?能力は?犯人は?2人から1人を当てるだけの簡単なゲームなのに、2ヶ月経ってもヒントすら掴めないなんて、アンタ何してたの?』

ーーー誰?

『アンタは本当の自分に気付いて、真実を求める前の"まともな"アンタを求めてくれた、最も信頼する優しい彼に甘えてただけ。弱くても、第二世代能力がまともに扱えなくても第三世代能力があるからいいって、心のどっかで思ってたんじゃないの?』

ーー……煩い

『もうどうでもいいの?』

ーーいいわけない

『こんなに延びるなら、いっそあの時消防官を辞めてジョーカー側に付けばよかったのに』

ーージョーカー…

『ああ、でも向こう側になる為の条件なんだったね?犯人を当てるのが。じゃあ第七で遊んでる場合じゃないんじゃないの?はやく新門殺して戻ンなきゃ第一に…。じゃなきゃ、大好きな彼が殺されちゃうかもよ?』

ーー殺す………

『新門紅丸。わかってんでしょ?コイツ鋭いよ。邪魔されたらタマったもんじゃない。早めに殺さないと、ね』

ーーーーーー、ーーー。





『ーーー』
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