「アイツ、今第七で修行中らしい」
「そうらしいね。ま、第二世代能力の特訓ならうってつけの場所なんじゃない?なにせ2ヶ月経っても扱いきれなかったんだから」
ーー 暗躍する者たちは、ある女の話をしていた。
「それだけアイツの中の恐怖がデケェんだろ。ただでさえ可愛げが無ェんだ、それくらいの短所があっても俺はイイと思うぜ」
「ジョーカーは本当に彼女のことを気に入ってるね」
トランプの絵柄を描く灰色の煙。ヘビースモーカーは妖艶に笑う。
「そりゃアイツは俺たちが導いた、俺たち側の人間だからなァ。後輩みてェで気になって仕方ねェよ」
「後輩、ね。そういえばこの研修中は第一周辺の調査も裏社会への出入りも出来ないわけだけど、どうするつもりなんだろうね。本人は早く見つけて捕らえたいだろうに」
「今回は俺らの仲間になれるかどうかの最終試験みてェなもんだからな。答えは教えてやれねェ。だがまぁ、久々に顔見に行くついでに少し手でも貸してやるか……」
その男、動き出す。
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