ーー夕方。
その日の鍛錬が終了し、紺炉に勧められたナナはヒカヒナを連れて先に風呂へ。
紺炉は縁側で涼んでいる新門の斜め後ろにあぐらをかいて座った。
「どうだい、ナナは」
「お前も少しは見てただろ。逆にどう思った?」
「まぁ、ちっとばかし驚きました。ナナは元からセンスのある奴だと思ってやしたが……まさか2日でコントロールできるようになっちまうとは」
「センス…か」
新門は今朝の鎮魂の時を思い返していた。風呂場から聞こえる双子のはしゃぎ声と共に。
ーーあの時ナナが醸し出していた危険な雰囲気。
笑みを浮かべ、冗談も言っていた。
「確かにセンスはあるだろうな。特に、想像を具現化する大三世代能力の扱いはずば抜けてやがる」
「何か気になることでも?」
「……アイツは一見完璧に見えるが、一方でどっか不安定で危なっかしい面がある」
「まぁ、若が言うならそうなんでしょうね。それで誘ったんですかい」
「ま、そんなとこだ」
誘われることはしょっちゅうだが、自分から誘うことが殆どない新門。珍しいこともあったものだと紺炉は笑う。きっとほっておけないんだろう。
「皇国の消防隊は気に食わねェが、アイツは嫌いじゃねェ」
「ナナは女にしてはちっとばかし言葉と愛想が足りねェ部分もありますが、ヒカヒナの面倒も見てくれるし、今朝出た焔人も町に被害を出さねェで抑えてくれた。良い奴ですよ、アイツは」
「ああ、わかってる」
「あんま飲ませ過ぎないように」
「今日は呑むとしても二軒目からだ」
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