俺たちはナナさんの案内で第一の施設内に入った。それにしても広すぎる…。建物自体も綺麗だし、何もかも第八とは大違いだ。
「あちらはカリム中隊長です」
ナナさんの後をついて歩いてると、向こうに人影が見えた。なんか変わった髪型の…若干イカツイ人だ。
「ご苦労ナナ」
俺たちはナナさんがカリム中隊長と言った人の少し前で足を止め、ナナさんはそのままその人の方へ歩いていった。
「テメェらが研修の新人か。ったく、どうせクソみてぇなクソしやがんだろ、クソかよクソが!」
ーー"それ"は、その人とすれ違ったナナさんがくるりと回ってコッチに振り返った瞬間だった。
「なっ……ん?」
悪口言ってるようだけど、クソをクソって言ってるだけだよな…?
「テメェのケツはまるでケツだぜ。ケツはケツらしくケツしてろ。ーーケツが!!」
今度はアーサーに向かって同じようなことを言い出した。
「なんだとォ!!」
「待て!別に、ケツにケツって言ってるだけだ」
「…?」
・・
カリムは第八の新人をほんの一瞬の間、黙って見下ろしていた。
「バーンズ大隊長がお待ちだ。ついて来い」
歩き出したカリムの少し後ろから、ナナは横目でシンラを観察していた。なぜならこの時、シンラの顔がニタリと笑っていたからだ。
「(第一のバーンズ、十二年前の火事を知る男。ーーあの事件…それも誰かの手によるものだとしたら……)」
前 /
次