ーーー2ヶ月後。
カリムとナナはこれまで通り、表では上司と部下のとして焔人の鎮魂にあたり、裏では(主にナナのだか)お互いの秘密を共有し、共に人工的に焔人を作っている犯人を追う仲間となっていた。
ナナにとっては犯人が三人から二人に絞れたはずだったが、この2ヶ月間で特定することはできないでいた。
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中・小隊長クラスの個室がある廊下を歩いてくる足音が一つ。大聖堂から戻ってきたカリム・フラムだ。
彼が角を曲がると、壁にもたれてしゃがむ部下、ナナがいた。ーー彼を待っていたというのが正しい。
「第八と第五が合同演習をしたらしい」
現れたカリムがそう言った後、ナナはゆっくりと立ち上がった。
「…不自然ですね。どちらか探りますか」
「いやいい。様子を見る。それよりタマキがお前を探してたぞ」
「……なんで?」
二人は真実を知るために手を組んだだけの仲……というわけではなかった。2ヶ月前、二人が手を組んだあの日ーーナナはカリムに自身の全てとまではいかないが、ほとんどをさらけ出している。今まで誰にも見せた方のない顔や弱さを見せ、目的とその為に使っていた手段のことも話した。
故に自分のことを知るカリムの前では、今更自分を抑える必要がなくーーまた、家族のいないナナに対し、あの日のキツく叱りつけたカリムのことを、今ではレッカ以上に信頼していた。
「組手の相手してほしーんだとよ。どうせ暇なら暇らしく暇でも潰してこい暇人」
「暇人じゃなーー痛」
カリムはいちいち口答えをするなとでも言いたげな顔でナナの頭を押して自分の個室へと歩いて行った。
「バーンズ大隊長も言ってたろ、第二世代の方の力をしっかり扱いきれるようになれって」
大きな手のひらが額から後頭部を通ったせいでくしゃくしゃになった髪を直しながらナナはカリムの背中を睨む。
「今度組手する時には氷漬けにしてやる…」
「なら俺はその前にお前の炎を凍らせる。じゃあな」
ーーパタン。
「………」
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