だからコイツは簡単に危険に身を晒す。
全てを奪われたあの日の真実を知る為ならば、例え未成年だろうが女だろうが、コイツには関係なかったんだ。
「あのな……、もう一度言うが俺はお前を信頼してるし、レッカやフォイェンもそうだ。そうやってお前を信頼してる人間は、同時にお前のことを心配もすんだよ」
「………でも、私のことですよ?」
「ったくああ言えばこう言う!口答えすんな!これは命令だ!」
ナナは取り敢えず頷いた。腑に落ちない顔で。
「お前の事は黙っといてやる。そのかわり今後一切裏の社会には関わるな」
「それは無理です」
「真実から遠ざかるからか?」
「はい」
「だったら俺が協力してやる。どのみちお前の求める真実に近づくためにはまず、この辺で人工的に焔人を作ってるヤツを見つける必要があるだろ」
「……まぁ…そうですね」
「なら組むか?」
差し出された手を見つめる。
この光景……どこかで見た気がするなと思ったら、配属した時に交わした握手だ。
まぁ、あの時みたいな真面目な顔じゃないけどね。完全に悪巧みしてる顔だし。
「わかりました。共に暗躍しましょう」
私はその手を握る。
「それじゃ悪者みてェだろ」
お互いに悪戯な笑みを浮かべて。
そしてこの時点で犯人は2人に絞られる。
前 /
次