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- ナノ -

歳も一つしか変わらねぇ。俺たちはある意味同期みてェなもんだ。

ナナが配属されたのは俺が来た約一年後だ。訓練校を首席で卒業しただけあって、ナナは配属時点ですでに能力の扱いは申し分なく、基本的な職務もこなす事ができた。

俺たちが先輩として教えたのは現場での連携や立ち回りくらい。それもあっという間に覚えちまったコイツは、すぐに俺たちと同じレベルで現場に出るようになった。

「知ってるかカリム。ナナは家族がもうこの世にいないらしいんだ」

いつだったか、レッカそんなことを言っていた。

「何を聞いてんだよお前は…」

「なんとなく会話の中で実家の話になったんだ」

レッカは無口で無表情なナナを笑わせようと毎日ナナに執拗に絡んでいた。ナナが第一に来た時は、まるで妹でもできたみてぇに喜んでたっけな。

「だからあんな無口で無表情なのか」

「いや!ナナはもう無口でも無表情でもないぞ!最近は笑うようになったし、会話も弾む!!俺がもっと笑って話せるようにしてやるぜ!」

レッカはナナを妹のように大事にしているが、同期としてもみていたと思う。半分ふざけてはいるが、ナナにフォローを任せるのはそういうことだ。

見た目や身長、コミニュケーション能力だけで見ればナナは明らかに歳下で後輩だが、実力や現場での立ち回りを知っている俺たちからすればアイツは十分同期と言って申し分なかった。

ただ一つ気になることがあるとすれば、鎮魂する時のあの冷酷な表情だ。俺はあれが唯一ナナが見せる感情なんじゃねぇのかと思うようになった。

たしかにナナはレッカの影響で口数が増え表情は良くなっていったが、俺からすればそれでも何を考えているか分からない奴だった。嫌いとか気味が悪いって意味ではない。

腹の底を見せないというか、ある一定以上のところから先には決して立ち入らせないーー俺はそういう風に感じていた。

でも俺は一つだけ知っていた。
ナナが俺の部下になり、部屋が隣になって接する機会が増したから気付けたレベルのことだ。

ーーあいつは休みの日の後、必ず煙草かなんかのお香みてぇな匂いをつけて帰ってくる。

そうはいっても休日、プライベートのことだ。俺たちの知らない趣味があってもおかしくはない。

だからこれは同期としての俺の勘だ。
あいつは何か俺たちに隠してる。




カリムの知る秘密
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