「気づいてやれなくて悪かった」
暫く歩いた頃にそう言われ、一瞬何のことを言っているのかわからなかったけど、よく考えてみれば私は疲労で倒れたことになってるんだった。
「謝らないでください。私の自己管理が甘いせいです」
「…お前はいつもそうだな。付き合いの長い俺たちにさえ自分の問題には一切触れさせない」
私のこと…そんな風に思ってたんだ。前々から思っていたけど、やっぱり鋭いな。
「触れるも何も、体調管理は自分の問題です」
「俺はそんなことを言ってるんじゃねェよ」
……じゃあなんのこと?何を勘づいたの?
真剣な表情で話すとカリムさんに、いつも通りの表情を作った仮面の底で私の警戒心が騒ぎはじめる。
「ちょっと寄っていいか。一昨日あった事件のことを話しておきたい」
カリムさんは通りかかった公園の前で足を止めた。
「……はい」
・
・
公園か。………公園。公園ね。
正直公園は焼け死んだ家族のことを思い出すから、今まで避けて歩いていたくらいに大嫌いだ。でも先輩が言うなら仕方ない。
公園の一番奥にベンチを見つけたカリムさんはそこに迷わず座り、そのあと私も腰掛けた。
「一昨日、子供が集団で燃える事件が起きた。しかもかなり不自然にだ」
子供が集団で燃える…不自然に…?
なんだか胸がざわつく。もしかしてそれって…。
ーーああ、なんか嫌だ。怖い。
これ以上自分の知る真実と併せて考えると、絶対に平常心を保てない。
耐えないと。カリムさんの前だ。
「そう、なんですか…。だからフォイェンさんもあんなに焦ってたんですね」
「ああ。ーーそれと、俺はその時にコレを見つけた」
ーーー 私はそこで見せられた物に耐えられなかった。
前 /
次