「加減はしたが爆発は爆発。しかも不意打ちでまさか無傷とはな」
煙草を加えたままポケットに手を入れる怪しげな男を、自身の周囲を覆う炎の隙間から警戒する。
「この程度じゃさすがにケガはしねェか。お前は勘が良さそうだからな」
言っていることも、自分を襲ったことも意味がわからないーーーそう思っていた。次の言葉を聞くまでは。
「まァその様子なら、手紙は大事にしてくれたみてェだな?」
「………手紙?」
まさか、そんな。このいかにも怪しい男があの手紙の差出人?あの手紙に書いてあった"真実ヲ知ル者"?
でもあの手紙のことは誰にも話していないし、念のため部屋にもしまわず常に持ち歩いているし…。
「そう、手紙。俺がその差出人であり、あの日の真実を知る者だ」
「……」
ーーこの男で間違いない。
先輩からの緊急の呼び出しも今はどうでもいい。私はある意味この日の為に怖くて見たくも触れたくもない炎と共に生きてきたんだ。
「私はあなたに会う為に生きてきた。真実を教えて」
炎は晴れ、煙の中、怪しげな長髪の男と私は視線を交える。
「…いい女になったじゃねェの」
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