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オリエンテーション合宿7


「いや、それ、自分が思っとるだけちゃう?」

「前から変わったとこあるな思とったけど、自分アレやな?ごっつナルシ(スト)やな?」

ーー いつだったか、関西弁は普段馴染みのない人が聞けばキツく聞こえるらしいと誰かが言っていたのを、このタイミングで思い出した。

さっきまでキャッキャとはしゃいでいた女子達の表情は打って変わり、はなこに敵意を向けながら嘲笑っている。怒りも泣きも怯えもしない、いつもの表情のままのはなこに、女子達の怒りが増した。

「もしかして実は侑くんの事好きで、とられたないとか?」

一人がそう言うと、ほかの女子達は
えーマジで!?おとなしいのにやること怖!ーー などと騒ぎ、妄想で勝手に話を進めていく。

『……や、そういう感情はないかな』

ーー 雨足が強まり始めた。

『それと、双子のタイプ聞いてきたやんか?ほんまは言わんとこかなって思ったんやけど、自分らみたいなタイプ、ツムもサムも嫌いやで』

「ハァ!?」

「お前ホンマ何様やねん!」

女子達は、双子と(実質)幼馴染のはなこが、双子のことを他の人よりも知っているからというよりも、自分たちを双子から遠ざけようと、はなこがわざと苛立たせる発言をしているに違いないと思っていた。

はなこもはなこで、" こういうこと "に慣れているのと、元々の性格が合わさり、大体の暴言や意地悪には耐性があった。
しかし、ほとぼりが冷めるのを待つのみ、といった態度をとりつつも、あんまりしつこいと思った事を言ってしまうという性格も持ち合わせており、それを真顔でするので尚更タチが悪い。

『雨、強なってきたし、行こうや。風邪引くで』

雨が降っているから、早く入ろう。
ーー 状況や向けられている感情など関係なく、思ったコトを淡々と述べるはなこ。

「…ウザイ」

そこで堪忍袋の尾が切れたのは、あの学級委員長だった。委員長は、右足を踏み出しながら、ドン、と強めにはなこの肩を押した。

若干湿ったグラウンドにはなこが尻餅をつくと、女子達ははなこをキツく睨んでから、雨足の強まる中、小走りで体育館へと向かったのだった。

「優しい侑くんに助けてもらいーや」

『…(…侑より治のほうがどちらかといえば優しいのに)』





ーーー その頃の体育館

「サム、ハナは?」

「なんか気づいたらおらんかった」

治単体がはなこを引き連れて、その上スキンシップをはかるのは気にくわないが、はなこを連れていない、もしくははなこが一緒にいない、ということに異変や違和感を感じるのも事実。

侑は治の肩に腕を乗せ、もう片方の手を額につけて体育館見渡した。

『誰探しとん?』

「「うおっ」」

灯台下暗し(?)
はなこは双子のすぐ後ろにいた、というか静かにそこに現れた。

振り返った双子は気づく。はなこの髪と長袖の体操服が、何故かビッショリと濡れていて、くるぶし辺りで裾を折って履いていた長ズボンが、何故かハーフパンツに変わっていることに。