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オリエンテーション合宿1


ーーー 五月、某駅の大型バス専用駐車場。

稲荷崎では毎年恒例、新入生の二泊三日のオリエンテーション合宿が行われる。
学校での学習内容や生活ルールを学び、豊かな自然の中で友人と共に過ごして親睦を深め、相互理解と社会性を育むことが目的だ。

「みんなー、バスの席適当やって!」

男子バレー部の宮治、角名倫太郎、七志はなこのいる一年二組の学級委員長は、クラスメイトに手を振りながらピョンピョン飛び跳ねている。折りに折った短いスカートからはいつ下着が見えてもおかしくないが、あからさま過ぎて男子はそれに見向きもしない。

「え、ほんまに!?やば、先生ナイス!うち絶対治くんと座りたい!」

「えーっ!うちも座りたいねんけど!」

「隣無理でも、近くがええわ!」

入学して一ヶ月と少し ーー 既に治ならびに侑の人気は学校で一番だ。二、三年生のいない今こそ最大のチャンスだと言わんばかりに、同じクラスのミーハーな女子達が騒いでいる。

『委員長スカート短過ぎひん?どっかの民族なん?』

「民族は笑う。なんにせよ汚ねぇ」

『えー倫太郎先生は好みちゃうんですか、ああいう子。かわいいやんか』

一年二組が並ぶ男女二列の一番後ろには、
角名と治、そしてはなこがいつも通り少しだけ列を崩して仲良さげに三人で話している。そこに、隣のクラスの宮侑と銀島結も混ざって五人の輪が出来ていた。

「どこが」

スカートが短すぎる学級委員長を見て、かわいいと言ったはなこに、男子四人の声が綺麗にハモる。この男子四人の中で一番熱くて優しい男、銀島もだ。

「お前目、腐っとんちゃうか」

「せやな、眼科行ったほうがえんちゃう?目痒い言うとったしな」

侑と治は、ちょこんと体育座りをするはなこの両横でそう言うと、「ボロカス言うやん」と銀島が突っ込んだ。

『目痒いんは花粉症や言うたやん。なんで?可愛いやんあの子、』

「まあ、男の思う可愛いと女の思う可愛いはちゃうっていうしな」

『なんなん、銀ちゃんは味方してくれるて思ったのに』

「いやー…キツイもんはキツイからな」

この学校で一番人気の双子や、それに近いレベルでモテる角名や銀島と常日頃から行動を共にし、同じ目線で会話ができる女子はおそらくはなこしかいないだろう。

「それより、バスの席の争奪戦始まりそうやで!お前ら朝から大変やなぁ!」

「ジャンケンまでしてんじゃん」

「「うーわ」」

当然部活動が同じだからというのもあるが、双子が双子の意思で、これまでずっとはなことつるんできたのと同じように、角名や銀島、そして他の部員達もまた、はなこのもつ他人にはない特別な感性だとか性格に惹かれていた。

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