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入学3-治、角名


「オス、角名」

「ウース、治の方」

入学の翌日、教室に着いた宮治と七志はなこは、その足で同じクラスになった角名倫太郎の席へ行った。

治と角名は、稲荷崎高校排球部監督のスカウトで推薦入学しているので、中三の冬頃から稲高バレー部の部活動にも参加していて、互いのことはすでに知っている。

が、しかし、当然はなこの存在までは知らない角名は、当然のように治と一緒にやってきた、自分からすれば背の低い、そして容姿端麗な女子を見ながら「彼女?」と治に問えば、治とはなこが声を合わせて「ちゃうちゃう」と言った。

「こいつ、マネージャー」

そう言った治が隣のはなこの頭に堂々と、そして慣れたように肘を置こうとすれば、すかさずはなこはその腕を頭で避けた。

「バレー部の?」

「そう」

「あ、もー決まってる感てきな?」

『うん』

入学式の翌日でマネージャーになることが決定している ーー ということがどういうことなのか、そしてどうしてそうなったのかが疑問だが、角名はとりあえず「あ、そーなんだ、よろしく」と、"第一印象は"かなり大人しそうなはなこにそう言った。

『うん』

「なに人見知り発動しとんねん」

『…べつに、そんなんちゃうし』

そう言いつつ角名を直視できないでいるはなこを笑う治。そんな二人の距離感から角名は、これで付き合っていないのがますます不思議に思えてきた。

はなこは自分の席に行き、角名の前には治だけが残った。

「アイツ、たまに意味不明な人見知り発動するから。…まあそのうち慣れるやろうから、仲良うしたって」

はなこを見ながらそう言った治はまるで兄のよう。

「あー…、同中とか?」

「おん、クラブも小学校も一緒」

治とはなこが仲がいい理由が分かってきた角名は、「クラブも一緒ってことは、バレーやってたの?まさかの幼馴染てきな?侑も」と続けて聞いた。

「実質幼馴染みたいなもんやな、クラブで出会った時からホンマにずっと一緒やし、家近いし。はなこは俺らのおったクラブの監督の娘で、最初はバレーやっとったけど、途中でマネージャーやるようなって、中学でも男バレのマネージャーやっとった」

「へー、監督の娘なのに」

「なんかでかわからんけど、急にマネージャーに目覚めて、そん時からテーピングやらストレッチやらの勉強ごっつしとる。あと、兄貴も三人おって全員ココのOB。バリ強いで」

「なんか知らねーけどヤバイってことはよくわかった」

聞けば聞くほどはなこがレアケースな存在であることと同時に、そんな彼女のことを治が熟知していることが分かった。

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