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聞いて4(一年生編)


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その日の部活はなんとなく各々盛り上がっとったと思う。次の日から本格的にマネージャーになる七志サンの自己紹介を聞いてからや。北さんの後輩の七志サンはルックスもは勿論性格も期待以上。
マネージャーの経験もあって、なおかつ小学校の時はクラブでバレーの経験がある七志サン効果は絶大やった。

そんな七志サンと途中まで一緒に帰ることになった俺と治とその他。
なんちゅうか、ほんまに大人しいというか大人というか。七志サンは俺ら男子とちょっと離れて歩く。

なんか話そかなと思ったその時、さすがは双子。考えるタイミング同じか。治が先に声かけた。

「七志サンて、バレー小学校でやめたん?上手かったらしいな」

『辞めたけど…うまくはないで』

「治、お前なんで上手かったとか知っとん」

「…小学校ん時全然勝たれへんかったアオバクラブてあったやん。七志サン、あっこのセッター」

「マジで!?」

ビミョーな差し方で七志サンを指差す治。
コイツは大人しいけど人見知りとかやない。
試合でも敵煽る時はあるし、俺に上げろ、決めたるって俺に殺気立つ時もある。
でも女子に自分から話しかけに行くんは珍しい。
まさか……いや、…ないか。
"いっつもの顔"やし。

『最後は負けたけど』

「まさかのあの七志サンけ!うわーなんや懐かしいわ」

…俺は基本、腹立ったり俺のセットで決められへんかったやつには誰にでも辛辣で毒舌。
けど治はだいたい誰にでも優しいし、俺みたいに文句は言わん。
つまり気使った、いうことか。なんや治のくせに。とか思いつつ、まさかの再開に俺も俺であん時はテンション上がってもた。

そら、小学校ん時の俺が潰したろう潰したろうおもてた選手の一人やし。

「なんで辞めてもたん?あんだけツー炸裂さしてたまに自分でも打って…ヤバかったやん!」

『チームと仲良うなれんくてさ。最後の大会の後、わざと転かされて足怪我してもて』

「「マジで…?」」

思わずハモってもた。
俺もかなり妬まれとるけどそこまでされたことないし。治もそんな返答帰って来る思てへんかったから、気まずい顔になった。

『うん。ギブスして、その後急いで練習してんけどそれが裏目に出てまた怪我して…。
でもバレーめっちゃ好きやから、知識とか活かしてマネージャー頑張ってみよかなって』

なんやそのストーリー感動して泣いてまうわ!!_______________って言うのを俺も治も堪える。なんか元気というかパワー貰った気がした。その瞬間改めて、七志サンてマネージャーが来てくれて良かったと思えた。頑張ろうと思った。

いや、頑張らなアカンと思った。

「スゴイなはなこちゃん!俺ら感動したで!」

『え、そ、そう?』

ウンウンて縦に首振る治。
この日から俺らは七志サンのことをはなこちゃんとかはなこて呼ぶようになった。つまりそう、"認めた"いうことや。

「俺らが全国連れてったるわ」

「せや。はなこちゃんサポート頼むで」

『…………うんっ』

意気投合した双子と、認められたはなこ。



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