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テスト期間12-北編


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テスト2日目を終えた生徒達がぞろぞろと下校する稲高前。いつものように流れで一緒になったバレー部の宮兄弟、角名、銀島、はなこ。

『じゃあはなこここで』

校門を出たところで突然はなこがそう言った。何も聞かされていなかった双子はもちろん、友達付き合いがそこまで多くない、オフの日も双子と遊んでいるようなはなこが一体誰を待つんだと角名も銀島も驚く。

「帰らんの?」

単刀直入に侑がそう問うと、『今日用事あるから先帰って』と返ってくる。
続けて治が「お前遊ぶような友達おったっけ?」と失礼極りないが、はなこのことを熟知しているともいえる質問をパックのジュースのストローを咥えたまま尋ねる。

『友達くらいおるわ』

「バレー部に?」と今度は侑にいじられる。

『バレー部以外にもおるわ』

ーー と、その時だった。
「待たしたな、行こか」と、二年生五人の背後でバレー部主将の声が聞こえた。

うち、男子四人がクルッと回って「ウッス!」と短い挨拶をしながら、「今待たしたな言うたよな…」「まさかはなこの待っとる相手って…」「えーまさかの北さんと?」「はなこ…まさかほんまに付き合ったんか!?」とそれぞれ心の中で考える。

『今日はよろしくお願いします』

「ん。ーー ほなな」

北は四人に軽く手を上げて、はなこと下校していく。
二人が横断歩道を渡った後、四人は同時に口を開いた。

「え、まってまってまって。どういうことなん、まって」

まずはこの四人の中で一番パニックになっているのは侑と治だ。

「えっ?えっ…?」

「絶対付き合うてるやんな、アレ」

驚きつつも、一緒に下校する二人の後ろ姿を見て真面目に分析する銀島。
角名は「なんも聞いてねーの?」と同じ顔で驚いている双子に尋ねるが、双子は口を揃えて「聞いてへん」と答えた。

「おーお前ら揃いも揃ってそんなとこ固まってどないした?デカイのに邪魔やろ」

そこへ、ナイスタイミングで現れたのは尾白だ。

「アランくん!」

声を揃えた双子は尾白の元へ走る。
尾白は後輩が迎えに来てくれたのかと思い、ウルッとした目で「な、なんやお前ら…!」と両手を広げて待ち迎えるが、双子はそんな尾白を無視してマシンガンのように話し始めるのだった。

「あんな!アランくん!今な!はなこが北さんと二人でどっか行ってん!!」

「なあ、あの二人付き合うとん!?」

さっきの感動を返せと思ったが、同じ顔が必死になって聞いてくるものだから尾白は思わず吹き出した。

「なんや、やっぱなんも言わんと行ったんか!まあ、信介はそういうん気にせえへんやろうしな…はなこも」

そう言って尾白は歩き出した。
双子も一緒になって歩くが、顔はしっかりと尾白に向けている。あの二人のことが気になってしょうがないらしい。

「信介のおばあちゃんに編み物教えてもらうて言うとったで。なんや去年も行ったて聞いたけど、お前ら知らんかったんか?年がら年中一緒やのに」

たしかにはなことはオフの日も会って遊んでいるレベルで時間を共にしているけれど、双子はそのことを全く知らなかった。

「えっじゃあ付き合ってへんの?」

「でも北さん家行くってことやんな?」

「同時に喋るな!」

あまりに必死な双子に尾白は爆笑する。
そうこうしているうちに角名と銀島と合流した。

「信介ん家行くんちゃう?それか信介のおばあちゃん家。でも付き合ってはないやろ!あー……でも…」

付き合ってはないと断言した後で、顎に手を当て何かを思い返す尾白に「でもなに!?」と双子が問い詰める。

「いや、付き合うとかちゃうねんけど、前に三年ではなこがごっつモテるなぁいう話で盛り上がったことあって、そん時に誰が話ふったかは忘れたけど、はなこのこと「たしかに可愛らしいとは思う」て言うたことがあってん」

もちろん真顔でやで?と尾白は言うが、既に焦りと動揺に支配された双子にはなんのフォローにもならない。
角名は面白そうに「双子の死亡フラグ」と二人の顔を見て言った。

「でも全然あり得ますよね!はなこと北さんが付き合うの」

「やめとけ、双子のHPもう0だから」

「ん〜……わからんな。でも、付き合っとったとしたら、信介がなんのボロも出さんのはわかるけど…はなこ最近なんか変わったとこなかったんか?」

「………なかったな」

「………おう」

「どんだけショック受けとんねん!!そない気になるんやったらラインしたええやん。まあ、これは俺の勘やけど、付き合うてへんと思うで」

「そうやとええけどな」

「双子よ、その疑いの眼差しやめなさい」

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