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テスト期間5-双子編


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1年2組の教室に着くと、すでに殆どの生徒が登校していた。運動部が多いこのクラスで朝から教科書やノートと睨めっこしているこの光景を見ると、テスト期間だと改めて自覚させられた。

「はようはなこ。銀ちゃんも。あれ、侑は?遅刻?」

銀島とはなこが席に着くと、隣の席で喋りながら試験勉強をしていた女子が気づいて話しかけた。
銀島は「そういえばおらんな。売店ちゃうか」と鞄から勉強道具を取り出し、机に置く。

『えー………待って。来る時銀と倫太郎とうちだけやったよな。てことはもしかして、あの二人"また"体育館でバレーとかしてへん?』

「あり得る話やな。侑が抜け駆けしてボール触りよったら治も絶対やるやろし」

尾白と走って先に学校に入った侑が教室にいないことと、教室に来るまでに気がついたら角名と銀島と自分の三人だけしかいなかったということにはなこは異変を感じる。

『………はぁ。ちょっと行ってくるわ』

あの二人にはこれまでのテストもそうだし、中学の頃のテスト期間中にも同じ事をして怒られた前科がある。
治がいない時点で気付けばよかったと後悔しながら、はなこは座ったばかりの椅子から立ち上がった。

「お、おう…でもテス勉は?」

『大丈夫、してきたから』

「さすがやな!」

部活は休みやのに、年中無休で双子に振り回されるはなこはホンマに大変やなと銀島は心の底から同情する。勿論感心もした。

何だかんだ文句を言いながらも双子が怒られないようにだとか、喧嘩をしたら北に怒られる前に止めに入るだとか、そういう風にアクの強過ぎるふたりのクッションというか潤滑剤の様な役割を果たしている。




「ちゃうねん!あのな、アランくんがな…やろって!」

「ツムが先にやりだしたんやで」

「お、お前も結局やったやんけ!」

双子には体育館に行く途中で出会った。
やっぱりバレーをしていたらしく、はなこの顔を見た瞬間、双子はバツの悪そうな顔で言い訳を並べ始めた。

『………二人のせいでバレー部部活禁止になったらどないするんよ』

「あーそれはならへんならへん。だって男バレがいっちゃん活躍しとるやん。インハイ2位の部活止めるやつおらんやろ」

『いやまぁ…そうなんやけどさ。ここ、バレー部の前に教育機関やからさ』

「北さんに似てきたな、ハナ」

「ホンマや、今北さんに見えたでハナ」

同じ顔がはなこの横から歩きながら見下ろして笑っている。結局のところ二人に反省する意志はないらしい。
はなこもはなこで、それ以上言う気にはならなかった。確かに侑の言うことも一理あると思ってしまう、子供みたいなところがあるからだ。

『はいはい。それで侑、ちょっとは勉強してきた?侑がなんかやらかすたびにはなこも怒られるんやからな』

「なんではなこが怒られるん?」

ツムが悪いのにと治が問うと、侑が自慢げな顔で答えた。

「はなこは俺の教育係ってことにうちのクラスではなっとるからな!まぁ担任が決めてんけど!」

『何誇らしげに言うてはるんですかね。そもそも担任が決めたんちゃうくて、2年なってから遅刻魔になった侑が遅刻の言い訳する為にはなこつこただけやん。
ちょっとは恥知って?同い年に教育係されなあかんほど学校生活と成績終わっとんやで?』

「もっと優しい言い方せえや!女やろ!」

『もー治、侑とクラス代わって』

「お前はこの俺が嫌や言うんか!俺がお前を俺のヒーローにしたったんやぞ!」

「俺俺お前お前やかましいやっちゃな。どこがヒーローやねん。善人ぶんな、お前はどっからどう見ても極悪非道の悪人じゃ」

また、いつも通り治とはなこvs侑になったところで丁度予鈴が鳴るのだった。

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