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キツネのお正月6


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「く、くるし……喉……!」

『侑、なんか大丈夫?』

「なにが洒落や、くだらんし疲れたし、もう帰るわ。こんなんほっといて行こや」

「待っ……たす……治………はなこ…」

しつこい!とキレた治が振り返って見たもの、それは餅を喉に詰まらせ顔面蒼白で苦しむ侑の姿だった。

『え…ぇえ!?大丈夫侑!?ほんまに詰まってるやん!』

「はァ!?それは洒落とちゃうんか!!おばちゃん、お茶ちょうだい!お茶!ツムが餅爆弾で自滅した!!」

はなこはブランコを飛び降りて侑の背中をさすり、治は走ってお茶を取りに行く。侑は人騒がせにも程がある。

『きな粉やのに一気に食べるからや!あときな粉苦手やろ!』

「せ…や……よう…しっとる……やん」

『サム、早く!侑が!死ぬ!』




木陰にしゃがみ、紙コップのお茶をすする侑は空を見上げる。

「生き返ったあとの空、めっちゃきれいや。知っとった?」

治は鉄棒を掴んで地面を蹴り、くるりと逆上がりをする。そのままバーの上で身体を支えると「知らんし、死んでへんやろ」とあきれている。

『死にかけてたけどな』

「意地汚いことするからや、春高前になにしとんねん」

はなこは治のとなりの鉄棒にもたれて侑の金髪を見ていた。
すると侑は「あんな」と言って冷めたお茶を飲み干すと、鉄棒にいる治とはなこを見上げた。

「俺な、実はきなこ苦手やんか」

「なんの話や」

『苦手やのになんで食べたん?しかも一気て。自殺行為やで』

「苦手やから、一口で食うたろ思て」

その言葉に、鉄棒の上の治が怒鳴る。

「……苦手なら、人の取ってまで食うなや!」

はなこに至っては侑の自己中さと馬鹿さ加減と、それに対して最もな怒りをぶつける治に笑いが止まらない。

『…はぁ、しんど。あんたらほんましんどいわ』

「俺の方がしんどいわ」

むすっとした顔で怒る治に一度収まったはずの笑いがまたこみ上げる。

『…んふ…あかん、もうやめて。ふふっ…お腹痛い』

「もっと笑わしたろか?」

下を向いて笑っていたはなこの目の前に、気づけば侑が両手の指を広げて立っていた。

『もー無理!』

こそばされる!そう思ったはなこは反射的に走って逃げると、侑は鉄棒をくぐってそのあとを追う。さっき死にかけていたとは到底思えない動きで。

『無理!おさ…っ…治!』

「俺は知らん」

『さっききな粉餅あげたやん!』

「今お前追いかけとるゴリラに食われたやん」

「誰がゴリラやねん!!!ターゲット変更や!」

公園ではしゃぐ、高校生が三人。

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