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キツネのお正月5


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『小学生てめっちゃ可愛いよな』

「せやな。ツムより賢い子ばっかやったわ」

『わかる。あ、きなこもう一個食べる?お腹いっぱいや』

できたての餅をもらった治とはなこは、いつもは子供が遊んでいるであろう公園の遊具がちょうど空いていたので、そこで静かに餅を食べていた。

ブランコに座って食べていたはなこは立ち上がり、箸を反対にしてきな粉のお餅を摘むと、「食べる」と紙皿を出してヤンキー座りのまま待っている治のところに行った。

「サム、その餅わけて!」

『うわ、出たな餅星人』

「フッフ」

治の紙皿に餅を乗せた瞬間にひょこっとやってきたのは、箸だけを持った侑だった。
おそらくはなこのようにお腹いっぱいになった人からおこぼれをもらう為だろう。

「餅爆弾で人の喉を狙う奴には分けられへん」

あとこれは俺がもらったヤツやと付け加える治は、ヤンキー座りのまま紙皿に乗ったきなこの餅を隠すように隅へと逃げる。

「冗談やんか!キッズらと仲良くなるための洒落や!」

『治!逃げて!』

と笑っていた侑が瞬時に動き、「隙あり!」と治のきな粉餅を奪い取り、走って逃げながらまるまる一個の餅をふがふがと口に詰め込むのだった。

「なに食うとんねん!まてやツム!」

狭い公園の中、鉄棒をくぐり、滑り台を駆け上がって、双子が追いかけっこを始める。

『あーもう、あっちでやって!きな粉溢れるから』

子供達が「逃げろー」「負けんなー」と囃し立てるなか、ふたりがはなこが座ったブランコを挟んで牽制しあう ーー その時だった。

「怒るなやサム、洒落やん……か……、うッ……!」

と、侑がはなこの座るブランコの鎖を握ってすぐ横に倒れるようにしゃがみこんだ。
そのせいで大きく揺れたブランコ。バランスを崩したはなこは紙皿に残ったきな粉を危うくこぼしそうになる。

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