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キツネのお正月3


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つきたてのお餅を丸めるために手を洗ってきた子供達は「洗ってきたでー!」「はなこちゃん手袋!」と一斉にはなこを囲んだ。

小学生から中学生くらいの子供達は当然はなこより背が低い。笑顔でこちらを見上げる子供達に可愛いなぁとはなこもつられて笑っていると、大人を含むこの公園内にいる人達の中で一際背の高い二人がやってきた。

「はなこおばちゃん手袋ちょうだい〜」

『侑クンは素手で丸めてね〜』

おばちゃん呼ばわりしてきた侑の代わりに黙って手を伸ばす治に手袋を渡し、手袋の入った箱を持ったはなこは餅を丸めに行く。

「怒んなや!冗談やんはなこお姉様〜」

そんなやり取りに、長テーブルの真ん中に置かれたバットにつきたての餅を置いたおばさんが大笑いしながら「はい、丸めて丸めて」と子供達にいった。




「いーなーはなこちゃんめっちゃ上手やぁ」

『んー?ないない。みんなもめっちゃ上手やんか』

「うちらは女子力ないもん!な?」

「そうそう!はなこちゃん可愛いしお肌ツルツルやし脚細いしいいなぁ〜」

『えー』

小学生の女の子達と女子トークをしながらお餅を丸めるはなこ。その斜め向かいには治。侑はその向かいで歪な餅を治に見せびらかし、小学生の男子達と侑が筆頭になって餅モンスター作りをしている。

「それ、かっこええやんか!」

「せやろ、白マグマ怪獣やねん。侑兄ちゃんのなんやそれ、ただの丸やん」

「餅爆弾」

「地味やな」

「治の喉を狙うねん」

「極悪やんか」

子供達とぎゃあぎゃあ騒ぎながら餅をこねる侑を冷たく一瞥して、治はため息をつくのだった。

「たまに、あいつとDNA同じなの辛なるときあるわ。まぁ、今やけど」

『ふふっ。そうやろなぁ』

治と同じく静かに餅を丸めていた女子達が、同情の目で治を見ながら言う。

「家族は選べへんからなー」

「でも治兄ちゃん、あと数年で独立できるやんか」

「うちもはよ一人暮らししたいわー。でも実家住みの方が貯金できるやん?」

「せやなー」

そんな自分よりもずっと歳下の女子達を見ながら、治は呟く。

「………自分ら、侑の千倍は大人やな。まだ半分しか生きてへんのにな」

『確かに』と言いながらはなこが立ち上がり、手袋をとっておばさん達の方へ歩いて行った。
それを見届けた女子達は一斉に治の周りに駆け寄る。

「なあなあ治兄ちゃん、はなこちゃんのことどう思っとん?」

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