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宮家5


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「・・・。」

約20分前程前、治がトイレに行くと言ってコタツから出た。そこで待ってましたと言わんばかりにはなこは間髪入れずコタツに足を突っ込んだ。

後で退かして奪えばいいと思っていた治が
母親に持たされたジュースと菓子を持って部屋に戻ったとき、はなこはコタツにスッポリと全身を入れて、明らかに寝ていた。

その反対側ではコタツから上半身がはみ出した侑が寝ている。
治のベッドから拝借したであろう毛布をコタツ布団の上から掛けて自分の耳のあたりまでをすっぽりと覆うようにして着ていて、治はこいつは絶対後でシバくと心に決めた。

「おい」

こうしてみると前世では侑とはなこは、もしくは自分達二人とはなこは兄妹だったんじゃないかとさえ思う。

「…起きひんし」

180センチ越えの侑と治は全身を入れることができない。どちらかがコタツで寝ようとすれば足が当たって喧嘩になるのが関の山なのにはなことは喧嘩をしたとしてもこんな感じで寝ている有様だ。

いくら小学校の頃から付き合いのある唯一の女友達といえ、相手は女子で自分たちは男子。

表で活躍し、そのルックスからも
名前の入った団扇を持って駆けつける女子がいるような侑と治程ではないが、童顔な美人といった感じのはなこは身体のラインもバストも程良いと"男子には"好評で、普通以上にモテる。

砕いて言うならそう、双子の親友の七志はなこは可愛い。
それは双子も小学校の頃から自覚していた。だからこそ、選手よりマネージャーをやりたいと言うはなこを真っ先に支持したというのもあった。

どれだけふざけても、時には喧嘩になっても。
それでも、手を出すような事にならないのはきっと ーーー 親友だからだ。

「コタツで寝たら風邪引くらしいで。侑はアホやから引かへんやろけどな」

寝転がるはなこが薄っすらと開いた瞼。
机に菓子とジュースを置いて座る治と目が合う。
治は机に置いた菓子のうちの一つを摘んで、いまだに寝転がったままのはなこに当たらないように軽く投げた。


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