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宮家3


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『あ!なにこれ可愛い。どっちの?』

友達だけになると少しテンションが上がる。
双子の部屋は既に暖房で温まっていた。思ったよりも片付いているのは恐らくおばさんもしくはおじさんに叱られて渋々大掃除をしたからに違いないと考えるはなこは、二人のやりそうな行動は予測出来る上に大体当てる。

「昨日UFOキャッチャーで取ったんや」

前はなかった大きなクマのぬいぐるみの両脇に手を入れて抱き上げるはなこに侑は凄いやろと得意げな顔をする。

『え、これ?凄。』

「どっかのアホが二千五百円かけてな」

この部屋の雲行きを怪しくさせる一言をサラッと言った治はこれから三人でやるゲームを決めている最中。
思ったより金額が高かった為、いつもはこの雰囲気になった瞬間止めるか宥めるか、離れるかするはなこも『二千五百円!?高』と火に油を注ぐ可能性のあるセリフを口にしてしまっていた。

「途中で諦めたヤツに言われたないわ」

「二千五百円出してやっととれるかとれへんかなら普通に買うわ」

「二千五百円のぬいぐるみ一回で取れたら百円で買ったことになんねんぞ」

「せやな。百円でとれたら二千四百円得するな。でもお前取れてへんやん」

ーー プチ。

「……言うやんけ」

治に図星を突かれた瞬間、侑の額に青筋が浮かび上がった。
今にも飛びかかりそうな侑と、来るなら来いよ顔の治の間ではなこが『そんなんええからプリン食べようや』とお盆にのったスプーンを左右の手で持って二人にマイクを向けるみたいに渡そうとすると治は黙って受け取ったが、侑は未だに治を睨みつつはなこにも不機嫌な顔を向けている。

『怖。そんな怒ることちゃうやん。治も言い過ぎやねんて。だって考えて?UFOキャッチャーでこんなデカイくま取れるだけでも凄ない?』

「せやろ!?」

『うん。二千五百円分の価値あるわ』

「やっぱお前おちょくっとるやろ?」

『全然』

上げて下げて、ボケて突っ込んで。
さすがは関西人なハイテンポの会話。やり取りに笑いながら侑ははなこの右手からスプーンを取った。

「ウイイレとスマブラどっちやる?」

『疾風伝』

ゲームのディスクが入ったケースを二つコタツ机の上に置く治は、その中にないゲームを言ったはなこに笑う。

「こん中から選べや。お前はツムか」

「ウイイレやろウイイレ」

『出来ひんいうてるやん』

「教えたるって!」

『……』

毎回やりたくもないゲームをやらされる、又はやらされそうになるはなこがいつも通りココで拗ねる。

侑と治の化学反応が喧嘩だとすれば、侑とはなこの化学反応ははなこが拗ねるという結果になる事が多い。
ムスっとした顔で黙っているはなこの顔を見て治は「あーあ」と口にした。

「え〜やろうやハナ〜、なんであかんの?」

「お前の教え方終わっとるからな。ハナは分かりやすいバトル系がええんやろ?」

『うん』

はなこに関しては今じゃほとんど呼ばれる事が無くなった、実質幼馴染の間だけの呼び名で呼ばれても、機嫌を損ねたはなこの反応は薄い。

「終わってへんわ!」

治ははなこが要望したゲームのディスクをPS4に入れ、コントローラーをはなこに渡す治は、自分達も大概子供だけどはなこも似たようなもんだなと再認識する。

侑は青色のコントローラーを取ってスタートボタンを押すと、「しゃあないなぁ。お子様はなこに付き合ったるわ」とコタツに足を入れてゲーム体制に入る。
機嫌がもどり、満面の笑顔でTV画面を見つめているはなこの横顔を見た侑は口角を上げ、画面を見た。


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