宮家2
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治の後ろについてリビングに入ると、いらっしゃいとおばさんが二人よりも元気に出迎えてくれる。そんな中「はなこのおばちゃんから」とさっき渡したプリンをおばさんに治が渡す。
年末のお笑い番組が流れるTV。
リビングに入っておばさんだけが反応したのは侑が寝転びながらその番組を観ているからだと思っていたら、TVの前のカーペットには侑のスマホが置いてあるだけで本人はいない。
治は普段母親を手伝うような性格じゃないのに、珍しくプリンの皿を出している。そのプリンを早く食べたくて仕方がないらしい。
そんな状況の中でしばらく立ったままでいると、背後からドアノブをひねる音が聞こえた。
振り返ってみると治と色だけ違う部屋着を着た侑がトイレから帰ってきたところで、目が合う。
「お前スカートて、寒ないん?今日ゴッツ寒いのにアホやろ」
「こら侑!女の子にアホ言うな!だいたいはなこちゃん可愛い服着て来てくれはったのにアンタら部屋着てどんだけ失礼やねん!いっつもお世話んなっとるマネージャーさんやろ!」
呆れた笑い混じりに侑と治を叱るおばさんに
侑は「失礼ちゃうわ!ここは俺ん家や!」と性格丸出しの反撃をしている。
双子揃って似たような事を言ってくるというか、言われるのももう何年目の事だろう。
『あ、私手伝います…!』
「はなこちゃんは座っといて座っといて!も〜ちらかっとってゴメンなぁほんま」
「いや、俺ら部屋行くで」
そう言ったプリンの皿が乗るお盆を持った治はすでにリビングをでて二階への階段を右足で一段踏んでいる。
「え〜!ええのはなこちゃん?こんなデカイムサイ男二人と狭い部屋で…ちゃんとコタツと暖房付けたげてや!?」
『全然大丈夫です』
「デカくてもムサくはないな、サム」
「お前はムサいわ」
何やねんと言い返す侑を放置してさっさと先に上がっていった治に、も〜、とおばさんは腰に手を当ててため息を吐く。私は宮家らしい光景に思わず笑った。
侑に至っては未だに「せやなぁ、部屋代タダにしたるから掃除手伝うてもらおかな」などと渾身のボケを言ったぞとドヤ顔を決めているが、『お邪魔します』とおばさんに挨拶して笑顔でスルーされた。
「聞けや!!!」
そんな三人に「ホンマ仲ええな」と笑いながら、あとで部屋にジュースでも持って行こうかと考えながらリビングにもどった。
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