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宮家1


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ーーー 12月31日。

年末年始は久しぶりの一日オフが何日か続く。
いつも顔を合わせる人と何日か会わないことや、部活での仕事がないのは少し寂しいような気もする。

私がマネージャーをしている稲荷崎高校の男子バレー部は今年のIHて準優勝の成績をおさめ、来年の春の全国大会への出場も連覇で決めている強豪校。
だから丸一日オフになる事は滅多にないし、当然それはマネージャーの私も同じなので、何日か休みになるのはやっぱり嬉しいかもしれない。

しかし、普段から制服と部のウィンドブレーカーと寝間着の三種類しか着ることがない私が珍しく私服を着て行く場所は、よく知る部員の…いや部員"達"の家だ。




「宮」と書かれた表札の下にあるインターホンを押すと、はーいと女性の明るい声がすぐに返ってくる。

『あっあの、七志です。こんにちは』

「あー!はなこちゃん!寒いやろ、入って入って!」

ー 治!はなこちゃん来たで玄関!鍵!
侑!テーブルの上片付け!だいたい迎えにも行かんと女の子一人に来てもろて… ーーー と、切り忘れたインターホンから家の中の会話が聞こえてくる。

私が来たのは同い年、同じ部活の双子宮侑と治の家。二人とは小学校の頃、父が指導者を務めるクラブで出会い、家も割と近いし、気も合うしで今では毎日行動を共にしているし、オフの日はこうやって3人で集まってゲームする事が多い。

玄関の扉の前で待っていると、遠征の時と変わらない服装の治が鍵を開けて出てきた。
人一人入れる分だけ開けて、入ったらすぐに閉められるようにしている。

「おす」

『おす』

私は治と全く同じ言葉を返して、お邪魔しますと言いながら扉を開けてくれている治の腕の下を通って宮家の中に入った。
私が入ると同時に治は玄関の扉をと鍵を閉め、クロックスを脱いでフローリングの上に上がった。

ここで靴を脱ぐ私を待ってくれているあたり治らしいなと思う。侑なら「あー寒!」と言いながら今治が履いていたクロックスを脱ぎ散らかしてさっさとリビングに行くから。

「外寒。やのにスカートて」

『ロング、裏起毛』

ロングスカートを履いた腰に手を当ててドヤる私を、私より20センチ以上背の高い治が寒そうに見下ろしてくる。

『あ、これプリン。母さんが持って行けって。おばちゃんに渡して』

「おーこれむっちゃ好きなやつ」

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