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見舞いと企み
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翌日
折原が刺されたことはニュースでも明らかになった。

黒沼から竜ヶ峰帝人がブルースクウェアのリーダーになった報告をメールで受け取った頃、折原からも無事を知らせる連絡が、おそらく病院で借りたと思われる番号から掛かってきた。

_________________そして現在、病室前。


「折原さーん。すごい可愛い女の子がお見えになりましたけど、どうされますかぁ?」

「ああ、俺の彼女です。通してください」

偽りを真実のように。
笑顔で看護師に対応した折原は、開かれた病室の扉の先へ目をやった。艶のあるサラサラとした黒髪、長いまつ毛の下から覗く黒い瞳をもつ小柄な女。看護師がすごい可愛い女の子と表現するのは当然だろう。

『相変わらずの嘘つきですね、先輩』

呆れながら笑ったはなこは、「俺は本当になってもいいと思ってるからね」なんて茶化す折原のベッド脇にある椅子に腰かけた。

『病院の電話で掛けて来たってことは、コートの中身全部警察ですか?』

「ああ。ナイフも見つかったんだろうね。まあ、あの数じゃ護身用とは思えないだろうし。怪しまれてたから、新羅を使ったよ」

『可哀想に。それで、誰に刺されたんですか』

「澱切陣内さ。まったく、やられたよ」

お手上げだと言わんばかりに両手をあげて笑う折原だが、どこか楽しそうでもある。

そんな彼に、はなこは真顔でこう尋ねた。

『消しますか?』

目を細めヘラヘラと笑っていた折原は、はなこがそう呟いた瞬間、視線をはなこへと向ける。その言葉が冗談ではないと分かっているからだ。例え相手がどんなに大物であろうと、危険で不安定な彼女なら本当にやりかねない。

「珍しいね。君がそんな顔するなんて」

無表情なはなこを見て、折原はそう言う。まるで表情からはなこの感情を読んでいるかのように。

『…どんな顔ですか、』

「一般的に怒ってるって感じなんじゃない?珍しいから写真撮ってあげようか?」

『いいです』

「そう。じゃ話を戻そうか。
この件に関してはなこが動く必要はないよ。駒はいつも通り、ちゃんと用意してあるからね」

『駒遊びに夢中になりすぎて、また刺されないといいですね』

はなこら呆れながら、カバンから林檎と果物ナイフを取り出した。

「さすがはなこ!そういうの待ってたんだよね俺」

『あちょっと、揺らさないで。それよりお礼くらい言ってくださいよ。お見舞いくるの私くらいでしょ?』

「そうだね。退院…いや、明日にでも抜け出すつもりだから、なにか奢るよ」

『やった』


落ち着いたところで林檎にナイフを当てる。同時に一つ、ある予感がよぎった。

『先輩が恨みを買ってる人たちって、今がチャンスって思ってるんじゃないですか?病院バレないといいですね』

何気なくそう言って折原を見つめると、彼はニヤリと笑っていた。それは、待っていると言わんばかりに。

「ああ____________そうだね」




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