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合宿の本格始動と家の命令!
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ーー 翌日 AM5:30 合宿2日目

少し離れた先の窓から伸びる朝日を浴びるか浴びないかの所に、クラスの全員が外に集合している中はなこだけは宿泊施設内にいた。

はなこが今いる宿泊階の廊下は、プッシーキャッツの面々は勿論、生徒も教師も全員出払っているため、あれだけ騒がしかった昨晩が嘘のように静まり返っている。

早朝ということもあって、あまりの静かさにまるで初めから誰も居なかったような、それともこの世界に自分だけが取り残されたかのような気にさえなった。

『………………しずか』

はなこだけがここに残った理由…それは、
個性の幅を広げる為、"建物の中から建物の外へ" 創造ゲートを展開し創造する練習するため。
これを本合宿ではなこがクリアすべき最初の課題として、朝食前に相澤にそう言い渡された。

それができれば外に来ていい。
逆を返せばそれが出来なければ外ではやらせないと。

________…シンと静まり返った廊下で
はなこは思い返していた。合宿前、青離の襲撃を受けたことを父親に報告し、その時に言われたーーいや、正しくは"命じられたこと"を。

「……彼奴はヒーローへの完全道と我が家を継ぐ立場を放棄した愚図とはいえ、"ウチで育てた"愚図だ。……ククク…はなこよ。これは"家の事"だ。雄英の生徒というお前の立場も、ヴィランという彼奴の立場も関係ない…」

_____________わかっているな?

最高の展開だと言わんばかりにくつくつと笑いながら、電話の向こうでニヤつく父親の顔は容易に想像できた。

「彼奴の狙いはお前に敗北した事への復讐だろう」

父親が挙げた理由は それだけ だった。想像はしていたが、まさかここまで自分達の行き過ぎた教育に非があると微塵も思っていないとは。

…そう思ってもそれを口にすることは出来ないし、しない。所詮自分はこの家の望がまま、言われるがままに生きていく道化-ピエロ。

「次襲ってきたら人目のつかぬ場所で虫の息まで追い詰め、片付けろ。
嗚呼、なぁに心配は要らんさ。ヴィラン同士のイザコザに見せかければいい。まぁ…完全に隠蔽できる状況であれば殺しても構わんが………それは状況に任せるとしようか?」

『……はい』

父親は完全に楽しんでいる。

それぞれの代で勝ち残った後継候補同士の闘いではなこに敗北したとはいえ、青離ははなこより先に家の教育を受け始めた、4つ年上の代の"元後継候補"。加えてはなこが青離に勝った時の状況は僅差で、どっちが勝ってもおかしくないくらいに互いにボロボロだった。

そんな相手を片付けろと、スーパーでコレを買ってこいくらいの調子で命じる。

「言っておくがはなこ。お前は時期当主に最も近い子供だ。故にこの戦いで負ければお前の帰る場所はないと思え」

『……わかりました』

時期当主に最も近いと言っておきながら本人の意思や立場を無視して強敵に対峙させる……まるで盤上で駒を進めていくように。

転がされる命。
これを思い返している時、頭の中に夜嵐やクラスメイトの姿はなく。あるのは ーー


" 嗚呼、死にたくない " と呟きながら見ていた、何もない暗闇だった。



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