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そういう時もあるんです。
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A組は"早ければ"と言われていた12時半を優に超え、魔獣の森に放り出された約8時間後に宿泊施設に到着した。
「やーっと来たにゃん!とりあえずお昼は抜くまでもなかったねぇ」
「何が"三時間"ですか………」
やっとの思いでたどり着いた生徒達は体力と個性を使い果たしてヘトヘト。ピクシーボブとは真逆のテンションだ。
「悪いね。私達にならって意味アレ」
流石の切島も「腹減った……死ぬ」と地面に座り込んでいるし、爆豪も無口だ。
「遅いじゃないはなこ!アンタちゃんと本気で走ったの?同じくらいのコースで前は3時間半だったじゃない」
"はなこが他のクラスメイトと一緒に来た"ことを不思議に思っていたマンダレイは、腰に手を当て冗談交じりにそう尋ねる。
『……そんな時もあります』
マンダレイ(プッシーキャッツ)が前回はなこに会った職場体験の時…つまりはなこがまだ士傑高校の生徒だった頃、ここと似たような山岳地帯を他の体験生徒達と競い合うレース形式で救助訓練をした。
結果、プッシーキャッツらと殆ど変わらない3時間半という驚異のタイムでゴールし、他の追随を許さぬ圧倒的な一位を見せつけた。
今回も当然のように驚異のタイムでゴールして来るのだろうとマンダレイもピクシーボブも予測していた。
「…フーン、"そんな時も"ね。(クラスメイトに合わせたり連携する場面もあったみたいだし……ちょっと変わったね、はなこ。)」
いい意味で期待を裏切ったはなこに、マンダレイはそれ以上何も言わなかった。
……それが本当にいい意味かは置いておいて。
「ねこねこねこ……
でも正直もっとかかると思ってた。私の土魔獣が思ったより簡単に攻略されちゃった。そこの5人、躊躇の無さは経験値によるものかしらん?」
ピクシーボブが猫の手袋についた爪でビシッと指差したのは飯田、轟、爆豪、緑谷、はなこの5人。そしてその5人の元に「三年後が楽しみ!ツバつけとこ!」と駆け寄りペッペッペッと本当に"ツバ"をつけ始めた(というかかけはじめた。)
そんなピクシーボブを尻目に「あの人あんなでしたっけ……」と相澤がマンダレイに問う。
「彼女焦ってるの。適齢期的なアレで」
「適齢期といえば……「と言えばて!」」
緑谷が"適齢期"と口から発した瞬間ピクシーボブが緑谷の顔面を猫の手袋でガバッと掴む。
緑谷はそのまま「ずっと気になってたんですが…その子はどなたかのお子さんですか?」とマンダレイのすぐ近くの男の子を指差し、押さえつけられた手袋越しに尋ねた。
『あ………(こーたくん)』
彼なら気になるんじゃないかなと思っていたはなこは、魔獣の森でクラスメイトを魔獣を倒すことで結果的にサポートし続けた事で使い過ぎた、殆ど視力の落ちた左目を擦りながら男の子を見つめる。
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