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フードの男2
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男の手首を止めた、細い指先。

「…あぁ……いや…………悪い、」

いえ、と短く返したはなこは手を離す。気づけば考察も探るのもやめていた。
彼は、というか彼もヒーローに対して"憧れ"とか"肯定的な興味"がないのだとはなこは察する。オールマイトが好きなのかというただの質問に対してこれだけ苛立ったところからして、自分とは違い、恨みや怒りといった感情があるのだろう。それがヒーローにに対してなのか、オールマイト単体に対してなのかは分からないが。


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____________さて、視点を黒いパーカーの青年の目線に切り替えよう。


青年の名は死柄木弔。
昨夜、大物ブローカーに敵連合の新たなメンバーこお"三人のヴィラン"を紹介された。…が、そのうち二人(破綻JKと皮膚が焦げた男)と全くと言っていいほど馬が合わず、死柄木は昨夜から拠点を出ていた。

そしてなんとなく、本当になんとなくだ。
大手ショッピングモールをふらついていたら、昨夜紹介されたヴィラン三人のうち、もっともまともだった少年の妹と遭遇する。

その妹こと結はなこのことは以前から"先生"を通して知っていた。個性はもちろん出身や生い立ちなどの素性を調べ、見て、気に入り、近いうちに勧誘しようと思っていたところだった。

故に本当は知っていた。少女、結はなこがオールマイトどころかヒーローに憧れも興味もないことを。

その家に産まれたが為に実の兄妹と優劣を争い、たった一度の勝敗で人生が決まる。
勝利は生、敗北は死。そんな環境下で言われるがままに育ってきたはなこは、たしかにそれをコントロールする能力や頭脳、戦闘・身体能力等を持ち合わせていて、どれもヒーロー志望の同い年と比べて並外れている。

________…けれど、空っぽだった。
最強のヒーローになるべく育てられ、ヒーロー育成最高峰の雄英高校に身を置きながら "自分がどうなるべきかわからない" でいる。

" 死柄木はそこに目をつけた "

「いや、もういいな。知らない他人のフリをするのは。だからちゃんと話をしようか?結はなこ」

『!…名ま________…っ』

落ち着きを取り戻した死柄木は、他人のふりをしてただの世間話をすることから目的の遂行を選ぶ。

何故名前を知っているのか。異変を察知したはなこがこの男から離れるために立ち上がろうとした瞬間________…死柄木は瞬時にはなこの肩を抱き、その手ではなこの口を覆った。二人の間に空いていた間隔はなくなり、二人は密着する。
はなこの唇を4本の指が覆っていた。

『(…たしか死柄木、弔……ヴィランの…雄英を襲った…!)』

「俺の個性は崩壊。5本の指が触れたらその綺麗な唇から崩れていく。大人しくできるな?」

『……』

「"君は"物分かりが良くて助かるよ」



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