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結家!
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【 結家 】

関西を中心にトップヒーローを世に送り出してきた、個性婚のみで作られたヒーローの名家。

本家の子供最低3人で一族の後継の候補決めを行う。一個性婚の影響でそれぞれが強烈な個性を持ったの子供らに、一族は"個性を使用しての"後継者候補決めをさせた。
負けた者はその場でヒーローの道を断たれ、一族の為に優秀な個性を持った婚約者を探す人生が与えられるのだ。

勝者は次の一族後継者候補とし、優秀なヒーローとなるべくヒーローに必要なものすべてを叩き込まれる。それがはなこだった。

この家に生まれた時から決められていた運命。昨日まで仲良く遊んでいた兄妹と、次の日には半殺し合いを迫られる。
これは当時、自分の感情を抑制するために心で唱えていた言い訳________…"勝たなければ、やらなければ自分が死んで(負けて)いた"。

後継者決めが終わった時、一族の決め事といえど自分がしてしまったことを後悔したはなこは2人の兄妹に手を差し伸べた。
まだ幼かった。今日から自分は一族の後継者候補、そしてヒーローにもなるから助けなければと言う思いがあってそうした。それが余計に2人の心を抉るとも知らず純粋な気持ちで。

「おまえにたすけられてよろこぶわけないやろ!」

「こんな個性…ヴィランやん…!おまえはヒーローなんかなられへん!」

床は所々削れていたり、血が飛び散っている。この異様な光景の中差し出した小さな手が掴まれる事はなかった。
代わりに、パシッと手をはたく乾いた音がした。

兄妹とはそれ以降一度も口を聞いていない。
鍛錬ははなこだけに絞られ、毎日吐血と鼻血、嘔吐、発熱を繰り返した。

「はなこ、おまえは士傑に行きなさい」

あの時兄妹に言われた言葉。たったあれだけの言葉が、幼く未熟な心には深く突き刺さった。

一歩間違えればヴィランになり兼ねない個性を育て続け、運命に従う人生。勝者と敗者________…本当はどちらが幸せなのか、本当の勝者なのか。

「最近雄英にヴィランが襲撃したらしい。おまえもニュース見たろう。雄英に転入しなさい」

『わかりました』

普通、大半の人はヒーローに憧れや尊敬を抱くものだろう。けれどもはなこにはそれがない。ヒーローにもヴィランにも、さほど興味はない。

________…私はただ淡々と生きている。




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