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嘘つきの嘘
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「あ"ーーー終わった。けどマジ助かったわ爆豪!サンキューな!これでなんとか赤点防いでゼッテー合宿行くぜ!」

「そーかよ」

若干眠そうな顔で短く答える爆豪。

爆豪は体育館や運動場で行う授業と、緑谷出久と轟焦凍になにかと刺々しい態度を取っていた印象がはなこにはあったが、切島に対しては口調は荒いもののキツイ当たり方をしない、むしろ対等に接しているように思えた。切島の人柄が相当良いんだろう。

「はなこちゃんマンションだっけ?一人暮らしって言ってたよな?俺送るぜ!」

『大丈夫大丈夫。歩いて10分くらいだし、まだ三時前だし』

そう言って手提げバッグを包帯が巻かれた方の肩にかけるはなこ。

「いやでも雄英の1-Aはいろんな意味で結構有名だからさ…」

「コイツはまだ無名だろ」

おそらく"気分"というやつで、喫茶店を出てすぐの所にまだこの場に残っている爆豪が言う。
それは特に意地の悪い言い方でも上から目線でもなく、単純に事実を述べただけだった。確かに彼のいう通り今なにかと有名な雄英高校1年A組の生徒だが、はなこは数日前に転入してきたばかりだ。

『ありがとね』

"まだ"という言い方にはこれから先、有名になるだろうという確信があるのかもしれない。

「んじゃ俺帰るわ!また学校で!」

爆豪とはなこに手を振って切島は帰った。『じゃあ私も』とはなこはもたれていたガードレールから身体を起こし、爆豪に背を向ける。その直後、「なァ」と爆豪の低い声が背中越しに聞こえた。

「お前、ヒーロー目指してねェのかよ」

勉強中にした、何気ない会話の記憶。
目指しているヒーローはいない。それどころかヒーローになるかも迷っている______________という冗談を言って切島の笑いを誘っていたが、爆豪にはどうも引っかかっていた。

『さっきの話?』

「おー」

『嘘だって。もしかして信じたの?』

はなこはそう言って笑うが爆豪にはわかる。嘘又はそれに近い何かだと。では何のために雄英のヒーロー科に来たのか。

「チッ」

かといってそれ以上聞くのも変。
爆豪は盛大な舌打ちをしてその場を去った。

『……』


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