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『爆豪くん、この式合ってる?』

「……………おー。まァ強いて言うならここんとこの式はなくてもいい」

爆豪は隣から渡されたノートを黙って受け取ると式を確認し、短く指摘する。開始15分で爆豪が分かったこと…それは、はなこは一度教えれば出来るタイプで、思っていたほど頭が悪くないということだった。
教えられる側のはなこからしても、口調は荒く説明は短いが、それがかえって"はなこにとっては"分かり易い。

「よっしゃ出来たぞ爆豪!」

「チゲェわそこy+3だろが!」

「扱い違くね!?」

『教えるのも上手いんだね、爆豪くん』

ふにゃっと笑うはなこに、ったりめーだと爆豪。クラス内で行動を共にする仲のいいグループがいくつかあるが、転入数日でまさかの爆豪グループ入りしてしまったはなこに切島は驚きつつも感心した。(自分もそうだったということはこの時点では忘れている)。

爆豪は誰にでも上から目線かつ口も態度も大きい自尊心の塊な訳だが、ただのチンピラでないのは体育祭や成績の順位を見れば分かる。特にクラスメイトはそれをよく知っている。

しかしながらやはり何故、転入数日で学校中で噂になるような可愛い女子がよりにもよって爆豪とつるむのか__________というのは切島にとっても本人の爆豪にとっても謎である。

「そういや転入初日の鬼ごっこ、アレヤバかったな!オールマイトのタッチ避けた時は鳥肌もんだったわ」

『ありがとう。まだまだなんだけどね。そういえば二人はオールマイト目指してるの?』

「俺はオールマイトをも超えるヒーローになる」

「俺は漢気ヒーロー紅頼雄斗かな!ちょい古いけど。…はなこちゃんは?」

はなこが転入してきてからまだ数日だが、初日の好戦的かつハイレベルな戦闘と、誰とでも自然に打ち解け順応できる所から性格にクセがないのは誰もが皆感じていた。

だからこのなんとなく始まった会話の質問にも淡々と答えると思っていた。

『うーん』

けれどはなこの表情からはさっきまで浮かべていた笑顔が薄れていき________…
オールマイトと鬼ごっこ訓練をしていた時のような、真剣な、けれどどこか冷めた顔で『ないかも』と応えた。

「ねーの!?憧れとか目指してるヒーロー…」

『うん。正直ヒーロー自体もなるかならないか迷ってる』

「マジで!?なんで?」

『なーんて、嘘だよ。まず迷ってたらヒーロー科なんて入らないし』

「クソ騙された!そりゃそうだよな!」

そういって笑顔に戻ったはなこはシャーペンを握る。頬杖をつきながら自分の課題にシャーペンを走らせる爆豪は、そんなはなこの雰囲気を感じ取り横目で見ていた。

切島は騙せても爆豪は騙せない。



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