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爆豪勝己の宣戦布告
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________________…帰り道。
はなこは今日から暮らすことになるマンションへと向かっていた。あまり知らない土地故に迷子にならないよう、スマホのナビを睨みながらゆっくりと。

「オイ」

目の前の景色よりもナビを見ていたはなこに突然低めの声がかけられ、目線をスマホの先に移すと同じ学校の制服が目に入る。そのまま視線を少しだけ上にすれば、同じクラスの爆豪という男子生徒が若干不機嫌そうな顔でこちらを見ていた。

『……どうも』

「お前士傑から来たらしィな」

変わらず不機嫌そうな上から目線でそう問う爆豪に、はなこはうんと短く答える。
実を言うと爆豪はヒーロー基礎学の後、轟とはなこが二人きりでしていた会話を盗み聞きしている。はなこが何者なのかが気になったのと、緑谷を呼び出した体育祭の時も轟はかなり重要な話をしていたからだ。

「言っとくが俺の方が上だ」

『………???』

このタイミングで何を言いだすのかと思えばと、あまりに唐突なセリフにはなこは驚きと困惑から頭にハテナマークを浮かべて黙り込む。

ビビるでもなく、ましてや何か答えるでもない。
へらりと綺麗な笑顔を浮かべるはなこは一見普通の女子にも見えるが、爆豪にはどうしても普通には見えなかった。

________…掴み所がない。

そんなはなこに苛立ちが募った爆豪は「なんか言えやコラ!」と両手のひらでバチバチと小さな爆発を何度も起こす。(彼が雄英の生徒でなければヤンキーが女子高生を脅しているようにしか見えない)。

『爆豪くんの個性…火花だっけ…?』

そんな爆豪にクスッと笑いながら問いかけるはなこ。決してバカにしているわけではない。
はなこは普段からテレビもネットもほとんど見ないため爆豪が体育祭で優勝したことくらいならなんとなく知っているが、肝心な個性や戦闘スタイルは本当に知らなかった。

「爆発だコラ!本気出したら超爆発するわ!!」

『爆発するの?すごい。今度手合わせしてよ。(…あ、…そういえば体育祭一位って聞いたような)』

「上等だぶっ殺す。ドラ◯もんみてェな個性しやがって」

ビビるどころか手合わせを頼んで来たはなこ。しかもいたって普通の表情でだ。そんなはなこに苛立ちを感じつつ、爆豪は別れの挨拶もせずそのままはなこに背を向けて歩き出した。

『……あ、ねえ爆豪くん。この近くのローソンってどっちに曲がって行けばいいかわかる?家までの目印なんだけど』

「知るかボケ」

爆豪と話している間もアプリを開いていたせいでスマホの充電が落ちてしまった。ナビアプリはとにかく充電を消費する。
マンションは学校からそう遠くないが、下校は今日が初めて。この辺り一帯の道がわからないはなこにとって今はかなり困った状況だ。

『…………』

教えてもらえないなら仕方ない。とりあえず左に曲がろう。
そう決めたはなこが左を向いた瞬間だ。

「右だボケェ!!!」

と大きな声が聞こえたのであった。



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