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転入生の個性!
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「結ちゃん一体どんな個性なのかしら」

蛙吹梅雨は心配そうに人差し指を顎に当て、スタートラインに立ったオールマイトとはなこをモニター越しに眺める。「詳しい自己紹介後回しにされたからなー」と瀬呂。

〈 よし、スタートだ! 〉

モニターからオールマイトの開始合図。それと同時にはなこは地面を蹴り、オールマイトの元へ走り出した。
まずその時点でクラスメイトを沸き立たせたのは、複雑に入り組んだ迷路のような細道が続く密集工業地帯を個性を使わずに建物から飛び降りたり、建物と建物の間を跳び抜けた高い身体能力。考えて立ち止まったり迂回したりする事なくただ淡々と進んでいく。

「見つけたぞ!結少女!」

________________…そして
オールマイトを前方に確認した瞬間。いよいよはなこが個性を使った。

『(あのオールマイトとやれるなんてなかなかないよなぁ…。頑張らないと、)』

はなこが次の建物に飛び降りる寸前、つまりまだ空中にいる時だ。はなこの両横の空間に突如渦巻きながら現れた4つの灰色の煙からミサイル"のようなもの"が顔を出す。そして、はなこが地面に着地した刹那、4つのミサイルはオールマイトに向かって放たれた。
当然その程度で仕留められるとは思っていないはなこは、着地→攻撃と同時にまた走って次の建物へ。

「ミサイルゥ!?」

モニター前はより一層騒がしくなった。
ミサイルのようなものを空間から放ったはなこはオールマイトと距離を取る事なく間を詰めてゆく。

「空間からミサイル出すみたいな個性か!?」

「……多分チゲェ」

じっくりモニターを見て観察していた爆豪は、隣で盛り上がる切島にそう言う。珍しく静かでおとなしい爆豪に轟が「ああ、違う」と相槌を打ったので、「うっせ話しかけんな半分野郎!」と残念なことに元に戻る。

…が、爆豪と轟の言った通りだった。
爆豪が轟に怒鳴り散らした直後、次の建物に着地したはなこがまた自身の両横の空間から、今度は8つの渦巻く煙を出現させ、そこから放たれたのは先ほどのミサイルのようなものではなく________________。

「ナイフゥ!?」

オールマイトに向けて放たれたのは、8本の鋭利なナイフ。それらはミサイル同様のスピードで飛んでゆき、同時にはなこもオールマイトとの距離を2mまで詰めた。この距離でその攻撃はと誰もが言いたくなるやり方だ。

しかしそう思ったクラスメイトにとっても、またはなこにとっても相手はあのオールマイトだ。全てのナイフの顔で避けるか持ち手を手刀ではたき落とし、はなことの距離を詰める。

ちなみに今回の訓練でオールマイトはパンチも蹴りも繰り出さないというのがはなこに対するハンディとなっている。

________…はなこの肩に向かって日本刀の如く鋭く突き出された右手。しかしはなこはその場でそれをバク転して避け、自身の右横の空間から現れたナイフを手に取り瞬時にオールマイトに放つ。

「体術、個性の使い方や良し。武器捌きもなかなかのものだ!さすがだ結少女!(…しかし、授業とはいえナイフ。攻撃的なのは結構だが、危険なやり方が目立つ)」

ナイフを軽々と顔で避けたオールマイトだが、これはプロヒーローでなければ出来ない高度な技と言える。はなこはオールマイトとの距離約3mのところでしゃがんでそれを見ていた。

「何が君を"そう"さけているのかな」

表情一つ変えず、空間に次々とナイフを創造するはなこに向けられたセリフ。




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