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轟と転校生
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「君の個性は完全創造だったか。イメージした物を自在に創造すると聞いたが…ヒーロー志望がナイフとはなかなか物騒じゃないかな?」
『このナイフに刃はつけてません。先端が当たると小さく爆破する仕様で……No. 1ヒーロー相手ならいいかなと思いました。でもこんな簡単にはたき落とされたの初めてです』
「ほう。それならば"一応は"安心したが…ヒーローを志す者がナイフを向けるのは見過ごせないな」
『それもそうですね』
表情筋を緩め、はなこはへらりと笑う。
まるで"刃のついたナイフを使ったことがある"言い方だった。
戦闘スタイルは静かで無駄がなく、表情も穏やかだが、爆豪とは違った"攻撃性"が確実にあるとオールマイトには見て取れた。
「さて、もう逃げ場はない。鬼ごっこのクライマックスといこうか!」
『はい……(…ヒーローを志す者…か)』
向かい合う両者は同時に地面を蹴った。
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「いやぁ結さんすごいね!あっ、はなこちゃんって呼んでもいい!?私芦戸三奈!」
「結果は負けちゃったけど、先生の最初のタッチを寸前で交わしたのは凄かったわ」
鬼ごっこの勝敗はオールマイトの勝ち。誰もが予想した通りの結末になった。しかし強力な個性とそれを完全にコントロールする力、高い身体能力や判断力など、戦闘に必要なものを兼ね揃えたはなこはあっという間にクラスの人気者となった。
女子の大半から名前を聞いた頃、男子生徒数人からのブーイングが巻き起こる。
「おいおい女子ばっか喋ってズリーぞ!」
「俺切島鋭児郎!コッチは爆豪な!」
「勝手に紹介すんなクソシネ」
よろしくと微笑するはなこはこのクラスの大半の生徒と同じく爆豪の暴言を流せるタイプで、内心切島やその光景を見ていた緑谷はホッとした。
「ちょっといいか」
轟焦凍は全員の自己紹介が終わるのを待っていたと言わんばかりのタイミングではなこの背中に声をかけ、クラスメイトから離れるようにその場を去った。付いて来い、ということだろう。
「なんだ轟のヤツ…もしかして一目惚れ!?」
「峰田ちゃん、彼はあなたじゃないから違うと思うわ。でもはなこちゃん、一人で大丈夫?」
『あ…うん。焦凍くん、小さい頃の知り合いだから』
そうなの!?なおさら恋愛に発展するんじゃ!?と驚き盛り上がるクラスメイトに「うるっせェ!!」と吠える爆豪。
はなこはまた後でとクラスメイトに手を振って轟の後を追った。
そんな光景を爆豪は黙って横目で見ていた。
結はなこ______________。
爆豪もまた、彼女に得体の知れぬなにかを感じた一人だった。
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