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テーピング10
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________________数日後。

体調不良から復帰した神楽木に
ある作戦を伝えるべく、栄美は廊下で神楽木が来るのを待っていた。必然的に作戦に参加することになったはなこがその隣にいるのは言うまでもない。

以前、成宮が杉丸に居るところにはなこ有り、はなこ居るところに杉丸有りだねと
名言(迷言)を残したが、高等部に上がってからは中等部の頃と比べて拍車がかかり、まさにその名言通りのスクールライフを送っている。

「ハルト」

やってきた神楽木を人差し指でちょいちょいと手招く栄美は今日もはなこと距離が近い。

「杉丸」

「この前の俺の話覚えてるか?桃乃園学院の。
敵を倒すならまず知らねーとな。そこで手に入れておいた。桃乃園学院潜入セットだ。この制服を着て探りに行こうぜ。ライバル校桃乃園学院を______________」





______________桃乃園学院。
コレクト5のメンバーの一人、栄美杉丸が用意した桃乃園学院の制服三人分。さすがはスポーツメーカーEIBI御曹司、全国トップクラスの高校生の行動力と実行力は違う。
はなこはなんで私も?と若干思いつつも、彼といることが日常であり、同時に一番一緒に居たいと思う人でもあるので黙って桃乃園学院の女子制服に着替えてついて着た。

「すげえ」

「ところどころ金箔貼ってあるぜ」

『なんか美術館みたいだね』

「「…だな」」

「ステンドグラスだけでもこの数だと億だろ。贅を尽くしたってこのことだな」

________…ここが、桃乃園学院。

「ハルト、はなこ
生徒の顔見てみろよ。気持ちわりーくらい生き生きしてるぜ。まるで入学案内のパンフじゃんか。こりゃあ今の英徳が太刀打ちするのはものすごい目玉がない限り難しいぜ…」

『…?なんか、騒がしいね?誰か来るのかな』

「整列!いらっしゃったよ!」

一人の生徒が"整列"と号令をかけると、散らばっていた生徒達は一目散に真ん中を開けてサイドに整列する。
三人も合わせて端に寄った。

「「おはようございます!馳天馬さま!」」

何が始まろうというのか。
警戒しながら列の先を見ていると、中央を歩いて来た人物に向かって生徒が一斉に頭を下げる。

『…馳天馬…、あの人みたいだね』

「なんだあのイケメン、大物オーラすげーな」

「おい、お前らうちの学校の生徒じゃねーだろ。さっきから聞いてりゃ馳さんのこと知らないとかありえないし」

毎朝こうして登校してくるこの学院一有名かつ
経済力のある生徒会長こと馳天馬を知らないのは、この学院ではあり得ないということなのだろう。本当にかつてのF4のような存在だ。

「へぇ、かわいーカオした女子もいんじゃん」

自分に触れて来た男子生徒の手を軽く捻って薙ぎ倒すつもりだったが、はなこが絡まれているのが視界と耳に入った栄美は声のトーンが必然的に下がり、はなこの手首を掴む手を潰す勢いで掴んだ。それも一番怖い真顔で。

「触んな」

「うわっなんだこいつ!」

「杉丸!」

潜入はどうやら失敗のようだ。
栄美が男子生徒の手首を掴んだ瞬間騒ぎは大きくなり、栄美は咄嗟にはなこを護ように引き寄せ、神楽木の隣に立って馳天馬を見据える。

「コレクト5の栄美杉丸!?」

「コレクト5って英徳の!?」

「なんで制服着てこんな所に!?
________…ってかアレ、神楽木晴じゃね?」

スパイだ、じゃああの女子は誰だと更に騒がしくなる。

「やべ。ハルトすまねぇ」

「いいさ。気にすんな杉丸」

『どうする?走る?』

「お前短距離苦手だろ!」

「吊るしあげろ!」

一人の生徒がそう叫んだ瞬間、ワッ…と三人めがけて動き出した生徒集団。だがその瞬間「やめろ、俺のお客だ」と桃乃園学院生徒会長馳天馬の鶴の一声でなんとか助かった。




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