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テーピング11
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「先程はうちの生徒が失礼をした。
英徳学園の神楽木晴さんと栄美杉丸さん…、そしてよしだはなこさん。」
______________桃乃園学院、客室。
出されたお茶を見つめるはなこ。
実を言うと中学までの記憶があれば
馳天馬とは武道繋がりの知り合いだった。
「コレクト5は有名なのでよく知ってます。今日は何の用でここへ?」
「きまってんだろ___________偵察だよ」
「ハ、ハルト?(そんなほんとのことを…)」
「この間お前のとこの生徒もうちの校門前でくだを巻いた。これであいこだ」
「帰るぞ杉丸、はなこ」
「お、おう」
本当のことを言うだけ言って立ち上がり、部屋を後にしようと出口へ歩く神楽木。栄美は未だ茶菓子を口にしているはなこの手を引っ張る。
ちなみにはなこは出されたものは何でも食べる。お菓子なら尚更だ。
「神楽木…くん!
校門前で騒いだ生徒は探して注意する。それから先程よしださんの手首を握った男子生徒にも…。申し訳ない」
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「……なんたよアレ。すげーな。なあハルト。
ザ・リーダーって感じだよな。あの馳ってヤツ。
ああいう男いるんだな。天性のオーラがあるよな。あんなふうにフツーに謝れるとかドキッとしたぜ。なあ?ハル…
…あれ?ハルトどこいった?あれ?はなこまで…」
フラッと消えて言った神楽木に気づいて探しに細い道に入ったはなこ。すぐに見つかるだろうと思い、栄美に何も言わずに来てしまったのが間違いだった。
昔からこの辺りはあまり治安がよくない。街から少し離れたここのような住宅街もそうなりつつあった。
「こいつたしか英徳通ってる武道家のよしだはなこじゃん」
「へぇ。んじゃ棒で相手してやっからかかってきな」
『格闘家とか武道家は、技を一般人に振るっちゃいけないんですよ?』
金持ちの子供狩り。
昔からよくあることだ。一見物騒な武器をチラつかせて脅し、財布ごと金を奪って逃走する手口。そんなこともあって子供に多くお金を持たせている親もいるとかいないとか。
「そんなこと言ってっと、早死にするぜ?」
__________ヒュン、
振るわれた鉄パイプを体でさばいて避け、
その瞬間男の手首をうまい具合に捻り、
続いて殴りかかって来た男の顔面に
今手首を捻った男が持っていた鉄パイプを
反動で振り上げクリティカルヒットさせる。
こんなことがいつもあるわけではないので、
若干男のパンチを額に喰らった。
小柄な女子高生がいともたやすく二人の男を
ねじ伏せる異様な光景に、
ほかの男たちは目を疑う。
________…こんなはずじゃなかったと。
「つ、使わねぇんじゃなかったのか!?」
『?これはなんちゃって護身術。技でもなんでもないです』
二本の街灯が照らす暗い道で、たしかに少女は微笑していた。儚い笑みを浮かべながら、片手でチョイチョイと男たちを煽り、両手を構えて片足を後ろに引いた。
普段のはなこからは考えられない行動だ。
「やっちまおうぜ…!」
『________なんちゃって護身術だけど、
結構苦労したんですよ。これ習得するの』
飛んできたパイプを避け、高く蹴り上げた脚で男の顔面を蹴散らす。
『小学生の頃…いっぱい殴られて、蹴られて』
「はなこ!!!!」
蓋をして、忘れてしまっていた記憶。
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