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僕が君を。
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…長十郎がソファから立ち上がる。
彼は話の途中で何処かへ行くような人間じゃない。

『?…』

はなこがなんだろうと疑問に思った時だった。
立ち上がった長十郎が振り向き、
ソファに座るはなこの前に立って見下ろす。

その真剣な眼差しをはなこが見つめ返すと、
長十郎ははなこの前でしゃがんだ。


「実はね、僕もはなこと同じ気持ちでした。
一人の男として、世界で一番はなこが好きだ」


はなこの手をとってそう言った長十郎に
はなこは驚きのあまり目をまんまるとさせ、
パチパチと瞬きを繰り返す。

信じられないのも、
すぐに理解できないのも無理はない。
何故なら彼は "師"であり"水影"だ。

この想いは口にして伝えることが出来ても、
彼にとって自分は一回りも離れた大人で、きっと
子供扱いされるのが関の山だと思っていたからだ。


『………』

「驚きましたか?」

『…だって私は先生からすれば子供だし、弟子だし…』

「確かにはなこは僕の弟子です。
もっと言えば僕は水影ですし、はなこは木の葉隠れの忍で、元六代目火影の娘。
…でもね、それとこれとは全くの別物ですよ。
それにね、子供だと思っていたら君を僕の家に招くことも、こうして気持ちを伝えることもしていません」


_________________ああ、どうしよう。
今、人生で一番驚いているかもしれない。
人生で一番嬉しいかもしれない。
まず彼はこんな冗談を言う人ではないし
その目を見れば本心だと分かるのだけれど、
信じられない。

あふれ出した感情と共に、ボロボロと涙が溢れ出す。


「…本当ははなこが二十歳になった時に僕の決心がついてれば伝えたいなと思ってたんだけど…さっき五代目にはなこを子供扱いするなって背中を押されてね」


長十郎は頭の後ろに手を置いて、
ハハ…と照れ笑いをした。


『先生……嘘じゃない?ホント?』

「ふふ」


いつも水の国へ来るたびにはなこは抱き着いていた。
でも今日は________________


「これで信じてもらえるかな」




【僕が君を抱きしめる。】




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