×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -
________________________
嫌な予感の影響!
________________________


.



木刀を長十郎の首元に向けたその時だった。

「……何か恐れているね」

『…………!』

________…焦り、驚き。
その一瞬で長十郎ははなこの木刀を巻き上げ、
今度ははなこの首元に木刀を突き付けた。

「いつも言っていますが、迷いや恐れがあっては斬れませ…………」


偶然だろうか。
彼女は恐らく無意識的に、首元にある傷を抑えて
長十郎の話を聞いていた。
弟子の真剣な態度に見えるが、
長十郎にはその目に恐れがあるように見えた。


何かあの事件に関連する事が
木の葉であったのだろうか。


「…はなこ。せっかくはるばる来てくれたんです。今日はいきなり稽古ではなく、早めに夕飯に出掛けましょう」


水に膝をつき、はなこに手を差し伸べる長十郎。
その手に己の手を重ねるはなこ。

…しかし、手と手が重なった瞬間
長十郎の指先から手首まで凍りつく。

咄嗟に手を引っ込めたはなこ。
自分が怖くなった。こんな風になったことは
未だこの力を使い余していた頃以来だからだ。


「(やはり何かあったのか…。はなこがこんな風になったことなんて今まで一度もない)」

『……先生…ごめんなさい!』


咄嗟に我に戻ったはなこは解の印を結ぶ。
長十郎の手は勿論、周囲の氷が一瞬で溶けた。


「大丈夫です。さぁ、出掛けましょう。そこでゆっくり話を聞きますから」




.

prev next