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他愛もない
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________…ガシ、と手袋越しの大きな手で
頭を鷲掴みにされたのが分かる。
包帯のせいでちっとも見えないけれど。


「眼が使えない今、幻術をかけて無理矢理吐かせることも出来るが…どうする?」


きっと今、彼は私に赤い眼を向けている事だろう。


『それは嫌。…それに、そんなに気にすることじゃないよ。マダラが私にいつも言う、"戯言"だからね』


そう言いながらはなこは、
包帯を変えてもらう為にゆらりと起き上がる。


「……お前とは五年の付き合いだが、相変わらず口の減らない面倒な女だ」

『今年で六年だよ』

「________…六年か」


他愛もない会話をするマダラとはなこ。
付き合いの長さ故だが、誰がこんなマダラを想像出来ようか。

『うん』

マダラの声のする方に手を伸ばすと、
________…トンと指先がぶつかる。

はなこには見えていないが、
マダラにはそれがハッキリと見えていた。
はなこの手がマダラの腕に触れているのが。

いつもはなこが軽口を叩いて触れるとき、
…というかほとんど
絶対に実体を持たせずすり抜けさせている。


「なんだ」


だからはなこ自身、触れたものが
マダラの身体だと理解するのに時間がかかった。


『これなに?』

「分からないのか」

『……腕?…腕だ。筋肉凄。これじゃ口答えしたら簡単に絞め殺されちゃうね。気をつけよっと』


いつもの薄い笑みを浮かべたはなこの
頭に巻かれた包帯をマダラは外し始める。


「今まで散々口答えしてきた奴がなにを今更」


はなこはまだ、マダラの腕を掴んだまま。


『それでも殺さなかったくせに。』




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